アパート退去の掃除はどこまですべき? 原状回復と掃除のポイント

アパートを引き払うときは、立ち会いの日までに掃除をしてキレイにするのがマナーです。普通に住んでいて自然と劣化する「経年劣化」であれば、ハウスクリーニング代を支払う必要はありません。しかし、故意につけたキズ・汚れなどは借り主(住人)の負担となります。一体どこからどこまで経年劣化になるのか、掃除をどこまですべきなのか悩む方が多いでしょう。分からないまま退去をすると、貸し主(オーナー)との間でトラブルに発展する可能性があるため、十分に注意しなければなりません。そこで、本記事では、アパート退去時の掃除方法とポイントについて説明します。

  1. アパート退去時の掃除の必要性
  2. アパート退去時の掃除と敷金について
  3. アパート退去時の掃除方法
  4. アパート退去時の掃除に関してよくある質問

この記事を読むことで、アパート退去時の掃除方法とポイントが分かります。気になっている方や悩んでいる方は、ぜひチェックしてください。

1.アパート退去時の掃除の必要性

「なぜ、アパート退去時に掃除をしなければならないの?」と疑問に感じている方は、退去時の掃除の必要性を知ることが大切です。オーナー・管理人とトラブルにならないために、掃除の必要性についてチェックしておきましょう。

1-1.必要性はあるのか?

アパート・マンションなど賃貸物件を引き払う場合は、「原状回復」が必要です。原状回復とは、何かの事情によって生じている現在の状態を、もとの状態に戻すことを指しています。入居したときを基準にした掃除をしなければならないと思いがちですが、経年劣化で汚れた部分を戻す必要はありません。つまり、原状回復は、借りた当時の状態に戻すことではないのです。かといって、汚いまま引き払うのはマナー違反であり、トラブルの原因となります。
また、退去時の掃除は、今まで住んでいた場所に「ありがとう」と感謝の気持ちを示すための作業でもあるのです。気持ちよく引っ越しをするためにも、掃除が必要といえるでしょう。

1-2.借り主、貸し主どちらの義務か?

部屋の汚れ・キズは、どこからどこまで借り主の義務になるのか、明確な基準はありません。しかし、ある程度の基準を定めておかなければ、借り主とオーナーとの間でトラブルになるおそれがあります。そのため、国土交通省では「原状回復のガイドライン」を公開しているのです。そのガイドラインによると、普通に住んで劣化してしまうものは、借り主の義務ではないとされています。

1-3.どこまで掃除すべきか?

では、どこまでが借り主の義務になるのか、主な例を以下にピックアップしてみました。以下の項目は、借り主の負担になる可能性が高い事例です。

  • ソファー・テレビなど大型家具や家電の移動時にできたフローリングのキズ
  • タバコ・線香などでできた焦げ跡
  • 飲食物をこぼしたことでできたシミ
  • タバコのヤニ汚れ
  • ネジ・釘(くぎ)によってできた穴
  • 借り主側の過失でできたガラスや網戸・ドアなどのキズ
  • 水まわりにできた落とせないレベルの汚れなど

基本的に、経年劣化でないキズや汚れは、借り主側できちんともとの状態に戻さなければなりません。ただし、契約の際に交わした内容によって、判断が異なる可能性があります。

1-4.家主負担について

前述したとおり、家主・オーナーの負担となるのは「経年劣化」によるキズ・汚れです。以下に、家主側の負担となる例をいくつかピックアップしてみました。

  • 太陽光による壁・フローリング・畳の色あせと傷み
  • 軽度のタバコのヤニ汚れ
  • 経年劣化によって起きたクロスの剝(は)がれ
  • 日焼けによる跡
  • 地震・気象などの自然現象によって起きたガラスのひび割れ
  • 普通に使用していた場合に起きた排水溝の詰まりなど

2.アパート退去時の掃除と敷金について

アパート退去時の際は、「敷金」が大きく関係します。貸し主側とのトラブルを避けるためには、敷金についてきちんと理解しておかなければなりません。ここでは、退去時の掃除と敷金の関係について説明します。

2-1.決まりごと、敷金について

賃貸物件を契約する際は、礼金と一緒に敷金の支払いが必要になるケースがあります。礼金は部屋を貸してくれる大家さんにお礼の気持ちとして渡すものです。一方、敷金は「債務の担保として預ける費用」となります。たとえば、家賃が払えなくなったり、退去時の修復負担金にしたりと、何らかの理由でお金が必要になったときに使うのです。居住中に何も問題がなく、退去時がなければ、敷金は全額返ってきます。

2-2.掃除で返金される敷金とは?

故意・過失による故障や汚れがなければ、退去時にすべての敷金が戻ってくるでしょう。退去時の掃除をする場合は、経年劣化でできたキズと汚れは家主・大家負担となります。つまり、それ以外の修繕と掃除が住人側の責任になるのです。この区別をきちんと理解しておいてください。故意・過失による故障と汚れがある場合は、敷金から修繕に必要な金額が差し引かれ、その残りが返ってくることになるでしょう。

2-3.よくあるトラブルについて

退去時の敷金関係でよくあるトラブルは、どこまでが原状回復にあたるのかという大家と住人の間で起こる食い違いです。「原状回復のガイドライン」がありますが、汚れやキズの具合はさまざまなので、個人の認識によって異なるところがあります。そのため、「経年劣化でできた汚れの修繕を請求された」など、両者でトラブルが起きてしまうのでしょう。

2-4.注意点

国土交通省のガイドラインでは、入居者が通常の清掃を怠っていない限り、大家の負担になると示しています。しかし、入居時に交わした契約書に「ハウスクリーニングは入居者の負担」と記載されているところもあるので注意が必要です。特約事項に記載されていた場合は、入居者の負担になる可能性が高くなります。手元に契約書がある場合は、敷金・ハウスクリーニング関係の契約内容を確認したほうがよいでしょう。

3.アパート退去時の掃除方法

それでは、アパート退去時の掃除は実際にどこまですればよいのでしょうか。よくある汚れと掃除方法・ポイントについて説明します。

3-1.どこまですべきか

まずは、アパート室内を自分で点検して、破損している箇所・キズ・汚れの有無を確認してください。経年劣化とともについた汚れなどは、立ち会いのときに家主と相談しましょう。それ以外の汚れ・キズに関しては、できる範囲で掃除できます。たとえば、以下のような項目があれば、掃除をしたほうがよいでしょう。

  • カーペットに飲みものをこぼしたことでできたカビ・シミ
  • 軽度のフローリングの色あせ
  • ペットや引っ越しでついた柱・壁などのキズ
  • 風呂・トイレ・洗面台など水まわりのカビ

ただし、個人で対応できないキズ・汚れがあります。たとえば、柱・壁などのキズがひどい場合は自分で修繕するとさらにひどい状態になる可能性があるでしょう。無理に修繕した結果、ハウスクリーニング費用が高くなったという事例もあるので注意してくださいね。

3-2.よくある汚れとは?

シミ・カビ・キズ・色あせの4点が、退去時によくある汚れです。飲みものをこぼしてできたフローリング・畳のシミは、放置するほど落ちにくくなります。できれば、こぼしたらすぐにタオルで拭き取ってください。また、水まわりで困りがちなのがカビです。湿気がたまりやすい場所にもカビが発生しやすいので、定期的な掃除が必要でしょう。
フローリングのキズ・色あせは、経年劣化であれば大家側の負担となりますが、荷物で引きずったときにできたキズなどは借り主の負担となります。どこにどんなキズと色あせができているのか確認してくださいね。

3-3.掃除方法とは?

それでは、シミ・カビ・キズ・色あせの掃除方法を紹介します。

3-3-1.早めに掃除すべき「シミ」

シミは水性と油性の2種類があります。それぞれで掃除方法が異なるため、最初はどんなシミなのか確認することが大切です。コーヒー・ジュースなど水性のシミは、洗剤を使わずに取ることができるでしょう。布をあてて、水で濡らした歯ブラシをトントンとたたきながら汚れを落としてください。ぬるま湯を使うと、汚れが落ちやすくなります。一方、カレー・バターなどのシミは、台所用洗剤を使うのが最適です。洗剤をシミに直接つけて、濡らした歯ブラシでたたき込みながら汚れを移しとってください。シミが取れたら、水で濡らした布で洗剤をきちんと落とします。

3-3-2.水まわりの「カビ」

風呂・トイレ・洗面台など水まわりにできたカビは、市販のカビ取り剤を使用してください。カビが生えている場所に直接液をふきかけてしばらく放置した後に水で洗い流します。カビ取り剤は、長時間放置しすぎると逆に変色したり、劣化したりするので、記載されている時間を守りましょう。また、カビ取り剤の独特なニオイがこもらないように、換気をしながら行うことが大切です。

3-3-3.フローリングや壁の「キズ」

ホームセンターなどには、フローリング専用のキズ修復キットが売られています。修復グッズを利用して修復するのもアリですが、使い方を誤ると目立ってしまうので要注意です。また、壁に空いた釘などの穴もシール材やパテを使って埋めることができるでしょう。ただし、大きな穴などは修復が難しいので、心配な方は自分でするよりも貸し主(オーナー)と相談したほうが安心です。

3-3-4.フローリング・畳の「色あせ」

軽度の色あせであれば、復元ワックスを使用して補修できます。けれども、紫外線・太陽光による色あせなら、経年劣化なので貸し主側の負担です。故意または過失でできた色あせなのか、それとも経年劣化でできたものなのか確認しておきましょう。

3-4.掃除のポイント

退去時は、アパート内の荷物をすべて新居に移した後、大掃除をしましょう。フローリングなどの床・キッチンやトイレなどの水まわり・排水溝・換気扇・玄関・靴箱など一通り部屋の掃除をします。普通の掃除よりも念入りに行うとよいでしょう。感謝の気持ちを込めながら掃除をすると、気持ちよく退去の立ち会いができます。ある程度キレイにしたほうが、立ち会い時の印象もよくなるものです。

4.アパート退去時の掃除に関してよくある質問

アパート退去時の掃除に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.自力での原状回復が難しいケースとは?
A.タバコのヤニ・水漏れによる壁の腐敗・ガラスの亀裂などは、自力での原状回復が困難なので無理に修繕しないようにしてください。中でも、タバコによるヤニで部屋全体のクロスが変色しニオイが染みついている場合は、クロス全面を張り替えなければならないケースがあります。

Q.貸し主側とトラブルを避けるためのポイントとは?
A.立ち会いのときに、細かくキズと汚れを一緒に確認してください。借り主側の負担になり納得いかないときは、自分の意志をきちんと伝えることが大切です。ただし、伝えるときは上から目線ではなく、穏便な態度での伝え方がポイントでしょう。伝え方によっては、言い争いになる可能性があるので要注意です。

Q.敷金はいつごろ戻ってくるのか?
A.退去日から2~3週間以内に敷金の明細書が送られてくるでしょう。明細書の内容に納得すれば、合意の証(あかし)となり、1か月以内に送金されるのが一般的です。合意してから1か月以内に敷金の振り込みがない場合は、不動産または大家に連絡してください。

Q.台所の油汚れを落とす方法とは?
A.油汚れは酸性性質なので、アルカリ性洗剤を使用すると落ちやすくなるでしょう。まずは、熱めのお湯で油汚れを緩(ゆる)め、アルカリ性洗剤をつけて放置してください。放置後は水でキレイに洗い流し、スポンジで軽くこするとよいでしょう。

Q.入居前に注意するべきこととは?
A.契約内容に記載されているハウスクリーニング費用や、原状回復の内容をチェックしておきましょう。また、入居時の状態を保存するために、ついていたキズ・汚れなどを写真で残しておいてください。あらかじめ撮った写真を不動産に送っておけば、原状回復のトラブル回避につながります。

まとめ

いかがでしたか? アパート退去時の掃除は、貸し主側とトラブルにならないための大切な作業です。掃除をせずに汚い状態のまま立ち会いをすると、借り主側の負担として修繕費用を請求される可能性があります。一般的に、借り主側は経年劣化による汚れ・キズの修繕費用を支払う必要がありません。故意または過失でできたキズ・汚れが、借り主の負担となります。原状回復のガイドラインをチェックしながら、お礼の感謝を込めてキレイに掃除しましょう。