
ロジカルシンキングとは? 倫理的思考力を鍛えるトレーニング方法
論理的思考力のことを「ロジカルシンキング」と言います。人に説明をしたり、文書を作成したりするときは、このロジカルシンキングが重要です。論理的な思考を身につければ、仕事においても大きな効果を生み出すでしょう。たとえば、説得力が強くなり、多くの人から信頼を得ることができます。では、どうすればロジカルシンキングができるようになるのでしょうか。
本記事では、ロジカルシンキングの基礎知識・効果・トレーニング方法について説明します。
この記事を読むことで、ロジカルシンキングを身につける方法が分かります。気になっている方や仕事ができる人になりたい方は、ぜひチェックしてください。
1.ロジカルシンキングの基礎知識
ロジカルシンキングを鍛える前に、まずは基礎知識を身につけることが必要です。ロジカルシンキングとは、一体どのような内容で目的・メリットがあるのでしょうか。
1-1.ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、論理思考・論理的思考という意味があります。ビジネスにおいて、「ロジカルシンキング」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。ビジネススキルとしてのロジカルシンキングは「一貫していて筋が通った考え方、あるいは説明の仕方のこと」です。考えがブレた説明は、目の前にいる人を説得することができませんよね。しかし、芯をしっかりもち、筋が通った考え方で説明をすれば、自然と人を説得させることができるのです。人材育成の現場では、成果を生む望ましい行動特性の1つとして重要視されています。
1-2.目的・必要性について
ロジカルシンキングの目的は、主に2つあります。それぞれの特徴についてチェックしておきましょう。
1-2-1.相手を説得させる
プレゼンテーションなど、仕事で人に何かを説明する・伝える場面を経験する機会がやってきます。特に、営業・コンサル関係に就いている人は、相手に伝えなければならない場面に遭遇するでしょう。その際に、役立つのがロジカルシンキングです。相手を説得させるコミュニケーションの精度を高めるために必要な能力となります。
1-2-2.目的達成の最善策を導き出す思考プロセス
どうすれば目的を達成できるのか、物事を論理的に考えることができれば、最善策を導き出すことができます。ロジカルシンキングは、目標を効率的に設定する目的ももっているのです。筋が通った考え・説明は、周囲にいる人の賛同を得やすくなり、目標が達成しやすくなるでしょう。
1-3.メリット
ロジカルシンキングは論理的に物事・現象を考えることができるので、私生活での目標設定・人生設計などでも活用できる能力です。前述したとおり、論理的に自分の考えを説明することができれば、相手により理解してもらえます。特に、ビジネスにおいて、相手に納得・共感してもらうために有効なスキルです。
2.ロジカルシンキングの効果について
では、具体的に、ロジカルシンキングにはどのような効果があるのでしょうか。
2-1.どんな場合・企業・人に必要か
ビジネス社会では「考える場面」と「伝える場面」に、ロジカルシンキングの効果が発揮すると言われています。たとえば、あなたが目標を成し遂げたいときに「どうすれば達成できるのか」と考えるでしょう。ロジカルシンキングを身につけておけば、目標までの効率的な取り組み方が分かるようになります。相手と話す・文書を書くという「伝える場面」では、論理的思考が求められるのです。論理的に伝えなければ、「本当にそうなのか?」「なぜそうなの?」「だから何なのか?」と疑いの目を向けられてしまいます。特に、クライアントとやり取りの多い企業などは、ロジカルシンキングが必要となるでしょう。
2-2.企業・個人においての重要性
近年は、ビジネス社会がグローバル化しています。その中で企業が生き残るためには、世界のスタンダードとなる論理的思考が必要なのです。国にはそれぞれ文化があり、異なるバックグラウンドに対してコミュニケーションも変えていかなければなりません。しかし、論理的思考は世界から見ても「正しい」と思われる考え方・伝え方なので、相手に受け入れてもらえます。
また、個人にとっても「一貫して筋が通った考え方」は、合理的な判断を行うために必要です。現在のビジネス社会は、効率的に業務をすすめる「スピード感」に重点が置かれています。1人1人がスピード感をもって業務をすすめていけば、企業全体の収益につながるのです。
2-3.効果について
ロジカルシンキングは、自分の考えを相手に分かりやすく伝えたり、論理的な考え方ができるようになったりするなどの効果が期待できます。また、能力を鍛えるほど、相手の考えていることが分かるようになってくるのです。
相手と話をしていて「何を伝えようとしているのか分からない」と感じたことがある方も多いでしょう。相手の意図がハッキリしなければ、コミュニケーションもなかなか思うようにいきませんよね。論理的思考があれば、相手の意図が分かり、次は何を話せばよいのか瞬時に判断して円滑に会話ができるようになるでしょう。
2-4.注意点
「筋が通った考え方」がロジカルシンキングの大切なポイントです。しかし、相手に納得してもらうためには、相手が自分と同じように考えることが前提条件となっています。つまり、どんなに論理的思考を組み立てたとしても、事実の根本的な捉え方が違えば話が通じないということです。「十人十色」という言葉があるように、人はそれぞれ異なる価値観と考え方をもっています。世界規模になれば、文化・歴史・政治的背景などバックグラウンドが大きく異なるでしょう。前提条件をきちんと踏まえた上で、相手が何を考えているのか思考パターンを探ることも大切です。
相手の思考を理解せずに論理的思考をくり広げてしまえば、ただの「自己主張が激しい人」に捉えられるおそれがあるので注意してくださいね。
3.ロジカルシンキングのトレーニング方法
それでは、ビジネスや私生活で役立つロジカルシンキングのトレーニング方法を紹介します。決して、難しい方法ではないので楽な姿勢で取り組んでみてください。
3-1.基本的な考え方
ロジカルシンキングの基本は、日ごろから物事に対して問いを投げかけることです。些細(ささい)なことでも疑問をもち、自問自答することで物事を論理的に理解することができます。また、ロジカルシンキングの基礎となる考え方に「MECE(ミッシーまたはミーシー)」というものがあるのです。正式名称は、「Mutually Exclusive Collectively Exhaustive(漏れなく、そしてダブりなく)」という意味をもっています。つまり、正確な答えを導き出すために必要な要素を網羅して、それらが重複しないようにするという考え方です。
物事を考えるときに、あれこれと思考を巡らせ、どんな方法を選択すればよいのか判断できなくなるという経験をされた方は多いと思います。とりとめもなく思考を巡らせているからこそ、物事を体系立てて考えることができず、必要な事実を無視したり、同じ要素を別々に考えたりしてミスを誘発するのです。
MECEを意識して物事を考えることができれば、全体的な視点から必要な事実だけを分類し、問題・課題に対する正しい選択肢が分かるようになるでしょう。
3-2.まずはどうするか
先ほども説明したとおり、まずは、日ごろから物事に対して疑問を投げかけてください。たとえば、駅を歩いていたときに掲載されていたポスターが目にとまったとします。「なぜそのポスターが目についたのか」「この駅にこのポスターが提示されているのはなぜ?」「このポスターは何を訴えたいのか」など考えましょう。この際のポイントは、人に説明したら「なるほど!」と言ってもらえるような答えを導き出すことです。「自然と引きつけられたから」という答えでは、納得してもらえませんよね。
日常生活において自分が気になったことを題材にして、どうすれば人に伝えることができ、説得させられるか考えることから始めましょう。
3-3.主な流れ
自問自答を何回かくり返すことで、自分の思考を深化させられるようになります。そして、論理的思考の資質を高めることができるのです。日常生活に疑問を投げかけ、「なぜ」という質問に対して答えが出ると思います。さらに、その答えに対して「なぜ」と自問してみてください。自問を4~5回くり返すという方法が、論理的思考を高める流れとなります。たとえば、みなさんがロジカルシンキングのトレーニング方法という記事に注目した場合、以下のような流れで自問自答してください。
- (問)なぜこの記事を読むのか
- (答)ロジカルシンキングを日常生活の中で鍛える方法を知りたいから
- (問)なぜその方法が知りたいのか
- (答)ロジカルシンキングを鍛えて、能力を高めたいから
- (問)なぜロジカルシンキングの能力を高めたいのか
- (答)仕事で論理的な話ができるようになりたいから
以上のように、何度も問いをかけては答えを出し、再び問いをかけていきます。頭の中でくり返してもよいですが、メモ帳に書くとより分かりやすくなるでしょう。自分自身の考え・思考についても理解できるようになり、どんどん楽しくなりますよ。
3-4.注意点
大人になればなるほど、自分の考え方が固まってくるため周囲の意見・考えに耳を貸さなくなってきます。しかし、そのままでは視野を広げることができず、論理的思考を鍛えても独りよがりな考えになるので注意しなければなりません。論理的思考を鍛える際は、周囲とのコミュニケーションも緻密にとっていきましょう。いろいろな人と触れ合うことで、より多くの思考・考え方に触れることができます。あなた自身の視野も広くなり、物事に対する最善策の選択肢が広がるのです。
4.ロジカルシンキングに関してよくある質問
ロジカルシンキングに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.デメリットはあるのか?
A.論理的思考で得られた結果が、すべて正しいとは限らない点がデメリットでしょう。正しいと信じこんで強引にすすめようとした結果、思わぬトラブルを招くこともあります。また、論理的思考で導き出した答えを実行しても、うまくいかないこともあるでしょう。こうしたデメリットも理解した上で、トラブルを少なくするために配慮する努力が必要です。
Q.代表的な手法とは?
A.演繹(えんえき)法・帰納法・弁証法の3つがあります。演繹法は階段を上るように論理を積み重ねる考え方です。たとえば、「Aだから、Bである」という考えから始め、結論づけていきます。帰納法は共通点から結論を導き出す考え方です。「素材Aは燃える性質がある、素材Bも燃える性質がある」など、共通点をまとめながら事実を導き出します。そして、弁証法は物事の変化・発展の過程を本質的に理解する方法です。
Q.相手とコミュニケーションをする際の注意点とは?
A.コミュニケーションの成果は、相手の反応に現れます。そのため、相手の反応が自分が望む成果とは異なる場合、お互いにズレが生じたか、伝え方がうまくいかなかった証拠です。その点を踏まえた上で、相手とコミュニケーションを重ねてください。自分が望む成果を得るためには、相手が望んでいることを知ろうとする姿勢が必要です。
Q.ビジネスシーンでロジカルシンキングを使うときの注意点とは?
A.偏見をもたないようにしなければなりません。ロジカルシンキングで物事を正しく理解するためには、客観的な視点から調査・分析を行う必要があります。個人的な感情が入ってしまった場合、ロジカルシンキングを正しく実践することはできません。偏見のある部分を排除することが大切です。
Q.「MECE」を身につけるコツとは?
A.「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」の2つの方法があります。トップダウンアプローチは目的に沿った切り口で分類する方法です。まずは、物事の全体像を捉え、そこから全体を構成する1つの要素に目的に沿った切り口を入れていきます。考えるべき範囲がハッキリと分かっている場合に有効です。
ボトムアップアプローチは考えられる事例・要素を洗い出し、それをグループ化することで全体像を導き出します。どういう分類をすればよいのか全体像が分からない場合に有効です。
まとめ
論理的思考を意味するロジカルシンキングは、ビジネスシーンだけでなく私生活にもよい影響を与えてくれるスキルの1つです。論理的な考え方ができるため、相手に自分の意志を分かりやすく説明でき、伝えられるようになります。逆に、相手が何を伝えたいのか読み取ることもできるので、コミュニケーションがとりやすくなるでしょう。ロジカルシンキングは、日ごろの行いから高められるスキルです。ポイントをつかんで、ぜひ鍛えてください。