引っ越しの初期費用を抑えたい!敷金礼金なしにデメリットはあるの?

引っ越しを考えるなら、初期費用は安く抑えたいと思いますよね。賃貸住宅契約費用以外にも、引っ越し業者への支払いもあり、多いときで数十万円が投資されることになるのです。引っ越し後の生活も考え、敷金礼金が少ない部屋に住みたい。その気持ち、とてもよくわかります。
昨今では、敷金礼金ゼロという魅力的なキーワードで賃貸住宅契約を結ぶことができる物件が増え、初期費用の大幅削減につながっているのです。しかし、魅力的である反面、敷金や礼金があるのにはそれなりの理由があり、ゼロという物件には何かとトラブルがつきもの。もし敷金礼金ゼロの物件を考えているなら、この記事を参考にしてメリット・デメリットを知り、トラブル回避に役立ててください。

この記事を読むことで、知識を持って賃貸住宅契約を円滑に行うことができるでしょう。

1.敷金礼金とは?

敷金礼金という言葉は、広く認知されています。しかし、どのような性質を持つものか、よく理解している方は少ないのではないでしょうか?
賃貸住宅契約で敷金礼金が必要とされている理由や定義など、知っておきたい情報をまとめてみました。

1-1.敷金礼金が導入された歴史

敷金の歴史は江戸時代から始まりました。婚姻時に妻の家族が花嫁の持参金として「しきがね」と呼んでいたもの。万が一、離婚になった場合、夫は妻の家族へ敷金を返還する決まりもありました。預託金としての意味合いが強く、現在の賃貸住宅物件と同じような扱いでした。
一方、礼金の始まりは関東大震災のころから。震災後に家屋が倒壊・火災に遭い、住居を失った人が優先して部屋を貸してもらえるよう、家主へお礼として支払ったものを礼金としていました。

1-2.敷金の定義

敷金は、本来借り主の予期せぬ出来事への備えとして、貸し主へ預託金として預けておくものです。予期せぬ出来事として、下記があてはまります。

  • 家賃滞納で支払えなくなった場合の担保金
  • 修繕に高額な費用が必要となる場合の預託金

上記に該当しないなら、原則として敷金は全額返還されるべきものです。ハウスクリーニング費用の請求をめぐり、敷金から差し引かれてしまったというトラブルが多くあります。しかし、借り主は故意・過失・善管注意義務違反での汚れやキズ以外の修繕などは、費用負担する必要はありません。

1-3.礼金の定義

礼金は、賃貸住宅契約締結時に、貸し主へ支払う謝礼のこと。法律で支払い義務があるものではありませんが、貸し主と借り主が合意して支払われるようになっています。一時金として考えられており、敷金とは異なって返還はされません。

1-4.敷金礼金の必要性

礼金なしの物件は、近年急増しています。礼金を求めなくなってきた背景には、賃貸住宅に空室が増えてことが関連しているのです。家賃収入を主軸に暮らす貸し主の場合、空室が出ることで資金計画に支障が出てしまいます。空室を避けるため、初期費用負担を軽減できる礼金なしにする動きが出てきているのです。
一方、敷金なしの物件は、トラブルが増える傾向にあります。敷金は、保証金や担保金としての意味合いがあるもの。貸し主は借り主が突然いなくなり、敷金で滞った家賃を補えず、貸し主の収入が途絶えてしまうリスクが高まります。敷金ゼロでは家賃滞納への備えができず、退去時に敷金から修繕費用を差し引くこともできません。借り主としては初期費用が抑えられるメリットもありますが、退去時に修繕費用を別途請求されるというデメリットもあります。退去に備え、修繕費用を準備しておく必要があるのです。

2.敷金礼金の現状

ひと昔前は、敷金3か月・礼金2か月と初期費用が高額になるのが一般的でした。しかし、近年は敷金礼金ともに下落傾向にあります。

2-1.平均相場

高額な初期費用は、引っ越しを検討するハードルを上げることになります。マンションやアパートなど賃貸住宅では、空室があるほど家賃収入も下がってしまうため、初期費用を抑え目にする傾向が強くなってきているのです。
毎月得られる家賃は下げたくないというのが、貸し主の本音。家賃は下げられないけれど、敷金礼金の交渉には応じるという貸し主も増えています。
平均相場は、賃貸住宅の半数が敷金1か月分、礼金なしとなってきているのです。全体的に初期費用がかからない設定に変化してきています。

2-2.家賃における割合

敷金は保証金とも捉(とら)えられていますが、地域差が大きいのも特徴でしょう。関西地方では家賃の2.267倍、関東地方では家賃の1.45倍といわれています。また、関西地方では貸し主への礼を重んじる傾向にあり、礼金の比率が高いのも特徴です。

2-3.その他の不動産関連初期費用

賃貸住宅契約では、敷金礼金以外にも必要経費が発生します。内訳を知り、賃貸住宅契約時の参考にしてみてください。

2-3-1.前家賃

家賃は前もって月初めに支払います。そのため、賃貸住宅契約時には前家賃を用意しなければなりません。入居月は日割りで計算し、翌月分の家賃も納める必要があります。

2-3-2.仲介手数料

不動産会社へ支払うものが、仲介手数料です。賃貸住宅契約成立時に成功報酬として支払うもので、家賃の1か月分という不動産会社がほとんど。消費税を加えた金額で支払いを行ってください。近年では、不動産会社の仲介手数料が半額と謳(うた)う傾向にあり、初期費用を抑えたい方から人気を集めています。

2-3-3.火災保険料

火災保険は、物件ごとに加入する保険です。万が一、火災や漏水などの損害があったとしても、火災保険料で損害補塡してもらえます。
火災保険は、不動産会社または貸し主の指定した保険会社を利用するのが一般的です。賃貸住宅契約の初期費用として同時に支払います。

2-3-4.鍵交換費用

鍵交換は、借り主の任意で行います。希望する場合、別途鍵交換費用を負担しなければなりません。賃貸住宅契約締結までに鍵交換を行い、引き渡し日に新しい鍵を受け取ることができます。

2-3-5.更新料および更新手数料

賃貸住宅では、2年ごとに契約更新するのが一般的です。そのまま住み続けると契約更新の意向がある場合、更新料を貸し主へ支払わなければなりません。更新料は、家賃の1か月分という物件がほとんどです。
また、更新時に不動産会社へ更新手数料を支払うケースもあり、こちらも家賃の1か月分を取ることがあります。まれに、更新手数料無料としている不動産会社もあるので、費用が気になる方にとって嬉(うれ)しいことですね。

3.敷金礼金の問題点やよくあるトラブル

敷金礼金ゼロというのは、誰にとっても好物件のように感じます。引っ越しには多くの費用がかかるため、賃貸住宅の契約金はなるべく抑えたいと思うものでしょう。しかし、敷金礼金ゼロには問題点やトラブルもあります。こんなはずじゃなかった!とならないためにも、ぜひ知っておいてください。

3-1.クリーニング代金の請求

気をつけなければならないのは、敷金を預けていないことで、退去時にクリーニング代金が実費負担になる恐れがあることです。もし、借り主の故意・過失・善管注意義務違反によりキズや汚れが発生した場合、借り主の責任においてクリーニング代金を支払う必要があります。

3-2.保証会社への加入が条件になる場合もある

敷金礼金ゼロの魅力に惹(ひ)かれた方は、実際に契約しようとして保証会社への加入条件に驚くケースもあります。契約時に保証料が必要ですが、連帯保証人の代わりとして使っている賃貸物件もあるのです。保証会社は、家賃滞納の際に借り主に代わって家賃を保証します。

3-3.家賃が相場より高めに設定されていることもある

敷金礼金ゼロで初期費用がかからないメリットもありますが、実際には家賃が相場より高めに設定されていることもあるので注意しなければなりません。初期費用で補えない部分を家賃に上乗せし、貸し主が収益を得られるような仕組みになっていることもあります。地域の相場と比較し、物件選びをすると安心です。

3-4.人気のない物件だったというトラブルもある

空室があると、貸し主は家賃収入を得ることができません。設備・周辺環境などをしっかり確認し、納得できる物件かどうか判断してください。
もともと人気のない物件のため、敷金礼金をゼロにして借り主を募っているパターンもあります。初期費用が不要なため、引っ越しに費用をかけられない理由のある人が入居している恐れも。入居者がどんな人物か、不動産会社などから情報収集することも、治安を意識するためには大切です。

3-5.家賃滞納したらすぐに鍵を変えられたというトラブルもある

敷金礼金ゼロの物件は、家賃滞納に厳しい傾向があります。通常の賃貸住宅なら、敷金で家賃滞納分を補塡することが可能です。しかし、敷金礼金なしでは、貸し主もトラブルを避けたいため、すぐに督促して支払うように催促されます。また、家賃支払いが滞ったために、すぐ鍵交換されてしまったという事例も報告されているのです。あらかじめ通常の賃貸住宅より家賃滞納に厳しい現実を知っておくようにしてください。

4.敷金礼金ゼロ物件とは?

敷金礼金不要の賃貸住宅を、ゼロゼロ物件と呼ばれています。

4-1.敷金礼金なしの物件増加

近年、敷金礼金ゼロ物件は増加傾向にあり、貯金を崩したくない・初期費用をかけたくない・気軽に引っ越ししたいなどのニーズに応える契約方法だといえるでしょう。

4-2.ゼロ物件の具体例

敷金礼金ゼロに注目しているものをご紹介します。

4-2-1.大手不動産会社の賃貸住宅

大手不動産会社でも、敷金礼金ゼロの物件特集を組んでいます。

敷金礼金ゼロの特集ページを掲載しており、沿線・住所などから候補地を絞っていくことができます。ぜひ参考にしてみてください。

4-2-2. 敷金礼金不要のシェアハウスが拡大中

シェアハウスは、1つ屋根の下で複数の人が一緒に暮らすスタイルです。リビング・キッチン・風呂・トイレなどは共有スペースとなりますが、自分だけの個室もきちんと確保されています。一般の賃貸住宅より家賃が安く、初期費用の負担も少ないメリットがあるのが特徴です。
シェアハウスは若い方を中心に人気を集めていますが、敷金礼金ゼロにしてより入居しやすい条件にしようとする動きも出てきています。

4-2-3. 敷金礼金ゼロの月決めマンション

月決めマンションで有名なレオパレス21では、トリプルゼロ制度を設けています。敷金・礼金・前家賃・鍵交換費用ゼロの対象物件を用意し、入居にかかる初期費用負担軽減につながると人気です。ただし、入居時には保証会社との契約が必要になります。トリプルゼロ対象物件だけに適用されるものですので、事前に対象物件かどうかよく確認してください。

4-3.なぜ敷金礼金ゼロにできるのか?

敷金礼金をゼロにできるのは、退去後の修繕費用や鍵交換費用を別途請求するようにしているためです。また、1つの物件に対して複数の入居プランを用意しているケースもあります。プランは、敷金礼金ゼロで家賃を数千円上乗せするパターンと、通常の初期費用を支払う代わりに家賃を抑えられるパターンです。
貸し主が空室を避けるためのキャンペーンとして、一時的に敷金礼金ゼロと設定していることもあります。

5.敷金礼金なし物件の注意点

初期費用の安さばかりに注目していると、思わぬ出費やトラブルに発展することもあります。住宅は長い期間暮らすものですので、慎重に選ぶように心がけてください。敷金礼金なしの物件では、どのようなポイントに注意すればいいのでしょうか?

5-1.物件数が少ない

敷金礼金ゼロ物件は、年々増加傾向にあります。とはいえ、まだ数は十分ではありません。不動産会社の前に「敷金礼金ゼロ」と掲げてあっても、希望する住宅や地域とは限らないのが現実です。
どうしても敷金礼金ゼロにこだわるなら、場所や設備などにはある程度の妥協が必要になるでしょう。

5-2.クリーニング費用など諸経費が高いこともある

敷金礼金がかからないからと初期費用の予算を甘く見積もり、痛い思いをすることがあります。入居にあたり賃貸契約書を締結しますが、備考欄までしっかり把握する方は少ないもの。退去時にクリーニング費用・室内消毒料など高額に設定されているケースもあるので、契約書は細かな部分まで目をとおすようにしてください。

5-3.環境には注意

人気がなく、なかなか入居者が決まらないために敷金礼金ゼロにしていることもあります。日当たりが悪い・湿気がこもる・間取りが使いにくい・設備が悪いなど、生活に十分な環境であるかどうか、自分の目で見て確認してから決めましょう。
長く暮らす家ですので、初期費用だけの魅力にとらわれず、家の中身で決めることが大切です。初期費用はかかっても、暮らしやすい環境の方がいいという結論に至る方も多くいます。

6.敷金礼金なしの物件でよくある質問

敷金礼金ゼロ物件でよくある質問をご紹介します。

6-1.初期費用は家賃だけ?

敷金礼金なしと聞き、家賃だけ準備すればいいと勘違いされる方もいます。しかし、実際は通常の賃貸住宅契約から敷金礼金を差し引いた、諸経費などは加算されるのが一般的です。
前家賃・仲介手数料・火災保険料・鍵交換費用・保証会社の保証料などは準備しなければなりません。

6-2.短期解約違約金とは?

敷金礼金なしの物件で注意したいのは、短期解約違約金を記載した特約事項です。敷金礼金なしは初期費用が抑えられるメリットがありますが、短期間で解約して退去されてしまい、貸し主が損失を被る恐れがあります。そのため、契約後1〜2年の短期間で解約した場合、違約金が発生して損失補塡するシステムを導入している物件が多いのです。借り主も特約事項をしっかり熟知してから契約するようにしてください。

6-3.通常の賃貸契約と敷金礼金なしではどちらが得?

敷金礼金なしの物件では、家賃を高めに設定していることが多くあります。一方、通常の賃貸住宅契約では敷金を預けて退去時の備えもでき、家賃も相場で抑えられるのがメリットです。長期間暮らすことを前提にした場合、家賃出費がかさむことがあります。
敷金礼金なし物件では、保証金システムを導入しているところもあり、修繕や家賃滞納の際に補塡するために使われるものです。家賃滞納や部屋の修繕などが必要ない方なら、退去時に返還してもらえ、多くのメリットが得られるでしょう。

6-4.退去時にかかるお金は?

まれに高額なクリーニング費用がかかったという事例もあります。しかし、実際に請求される費用は、借り主の故意・過失・善管注意義務違反で生じたキズや穴などの修繕費です。特約でクリーニング費用を設定しているケースもあるため、契約前に内容をしっかり確認してください。

6-5.短期解約の違約金が心配

敷金礼金なし物件は、主に長期間暮らしてもらうことを前提にしています。短期で解約してしまうなら、違約金が発生する恐れがあるため、どのくらいの期間生活する予定で住居を探しているのかも、選ぶ際のポイントになるでしょう。
不動産会社に確認し、違約金の有無や金額などを確認しておくと安心です。

7.まとめ

いかがでしたか?引っ越しにはあまりお金をかけたくないという方が多いと思います。敷金は、退去時に借り主の過失による修繕費用や家賃滞納を補塡するための預かり金です。敷金礼金ゼロの物件では預かり金がないため、退去時に修繕費用などを別途負担する可能性があり、資金の準備をしておくことがポイントになります。また、敷金礼金ゼロの物件選びは、周辺環境や設備などをしっかりチェックすること。長く住む家だからこそ、初期費用の安さだけで決めず、納得できる家探しが重要です。契約内容の特約に、高額なクリーニング費用や鍵交換費用負担の記載がないかも見逃さないでください。