パソコンにはレアメタルが含まれている? リサイクル方法や注意点

パソコンには、貴重な資源が含まれています。特に、レアメタルなどの資源は流通量・使用量が少ない希少な金属となっているため、再利用するためのリサイクルが推奨されているのです。よって、パソコンもリサイクル対象になっていることから、処分時には十分に注意しなければなりません。パソコンの処分を考えている方の中には、どうすればいいのか悩んでいる方が多いでしょう。

そこで、本記事では、パソコンに含まれているレアメタルやリサイクル方法などについて解説します。

  1. レアメタルとは?
  2. パソコンにはレアメタルが含まれている
  3. パソコンを回収しているリサイクル業者も
  4. パソコンの回収を業者に依頼する際の注意点
  5. パソコンの処分に関してよくある質問

この記事を読むことで、パソコンに含まれているレアメタルがどのくらいなのか・レアメタルとは一体何なのか、詳細が分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.レアメタルとは?

まずは、レアメタルがどのようなものなのかチェックしておきましょう。

1-1.希少な金属のこと

レアメタルを簡単に説明すると、希少な金属のことです。流通量・使用量が少ない貴金属の一部となります。地殻中の存在量がとても少なく、採掘と精錬のコストが高いことでも知られている金属です。また、単体として取り出すことが技術的に困難で、このような理由から希少なものとみなされています。将来は地殻中から取り出せなくなることが懸念されており、日本だけでなく世界中でレアメタルのリサイクルが推奨されているようです。

1-2.約31種類のレアメタル

経済産業省がレアメタルとして指定している種類は、全部で31種類があります。たとえば、プラチナ・インジウム・リチウム・パラジウム・チタン・コバルト・ゲルマニウム・ニッケルなどです。また、レアメタルの用途は大きく分けて、構造材への添加・電子材料と磁性材料・機能性材料の3つがあります。それぞれの詳細は以下のとおりです。

  • 建造材への添加:鉄・銅・アルミニウムなどのベースメタルに添加し合金を作る。強度が増したり、サビにくくしたりすることが可能
  • 電子材料・磁性材料:発光ダイオード・半導体レーザー・一次電池・二次電池・燃料電池などに利用される
  • 機能性材料:光触媒・EDレンズ・磁気光学媒体・形状記憶合金・水素吸蔵合金などに利用される

2.パソコンにはレアメタルが含まれている

ここでは、パソコンにどのくらいのレアメタルが含まれているのか解説します。

2-1.ネオジム・タンタルなどが含まれている

パソコンに含まれているレアメタルは、ネオジム・タンタル・ジスプロシウムなどです。パソコンとレアメタルは切っても切れない関係であり、パソコンを作るためにはレアメタルが必要とされています。今後は技術革新によって、レアメタルを使わなくてもパソコンが製造できる時代がやってくるかもしれませんが、リサイクルコストがあがってしまうのが難点です。レアメタルが含まれていないパソコンは、再生価値がなくなるでしょう。切っても切れない関係でつながっているからこそ、レアメタルを有効利用しなければなりません。

2-2.パソコンに含まれているレアメタルは少なめ

パソコンに含まれているレアメタルは意外と少なめです。たくさんのレアメタルが含まれていると思っている方が多いのですが、基本的にレアメタルは基板に含まれており、1トンの基板からは数十グラム~数百グラム程度しか取れません。「それなら再利用する必要がないのでは?」と感じますが、それでも鉱山を削って取り出すよりもはるかに効率的です。つまり、鉱山からレアメタルを削り出すよりも、パソコンからレアメタルを取り出したほうが大量に取ることができます。

2-3.PCリサイクル法に基づいて処分する

前述したように、パソコンには希少なレアメタルが含まれています。よって、PCリサイクル法に基づいて正しく処分することが義務付けられているのです。PCリサイクル法は、家庭で要らなくなったパソコンなどの回収と再資源化を目的としています。パソコンメーカーは製造したパソコンを責任持って回収し、リサイクルしなければなりません。なお、PCリサイクルマークのシールが貼られているパソコンは無料回収が可能ですが、PCリサイクルマークがないパソコンは回収が有料となります。

3.パソコンを回収しているリサイクル業者も

ここでは、パソコンを回収しているリサイクル業者について説明します。

3-1.処分に悩んだときはリサイクル業者に依頼する

パソコンの処分で悩んだときは、リサイクルを行っている回収業者に依頼するといいでしょう。前述したように、パソコンには貴重なレアメタルが含まれているため、リサイクルを行っている業者が多数存在しています。実際に、回収したパソコンからレアメタルといった部品を取り出し、修理部品として活用したり、パソコンをメンテナンスして再販したりしているところが多いでしょう。リサイクルを行っている回収業者に依頼することで、正しい方法でパソコンがリサイクルできます。

3-2.環境保護や資源有効利用になる

リサイクルを行っている業者に依頼することで、環境保護や資源有効利用につなげることもできます。パソコンを回収した後にメンテナンスを行い、パソコンの再販をすることで不用品をゴミとして処分できずに済むからです。近年はパソコンを使用する人も増えているため、ゴミの排出量が増えています。パソコンをゴミとしで出さずリサイクルすることで資源が循環され、ゴミの削減に貢献でき、環境保護や資源有効利用につながるというわけです。

3-3.買取に出すこともできる

まだ問題なく使うことのできるパソコンであれば、買取に出すこともできるでしょう。パソコンのリサイクルや不用品回収を行っている業者の中には、買取サービスを展開しているところもあります。回収と買取が同時に利用できれば、たとえ買取不可になったとしてもわざわざほかの業者を探す手間と時間がかかりません。また、パソコン以外にも処分したい不用品があれば、まとめて買取に出すこともできるでしょう。買い取ってもらえる不用品が多くなれば処分費用も抑えることができるため、費用をなるべく抑えたい方におすすめです。

4.パソコンの回収を業者に依頼する際の注意点

ここでは、パソコンの回収を業者に依頼する際の注意点をいくつか紹介します。

4-1.処分前にパソコンのデータを消去する

パソコンの回収を業者へ依頼する場合、処分前にパソコンに含まれているデータを完全消去しておかなければなりません。よく初期化すれば大丈夫と思っている方が多いのですが、初期化だけではHDDに記録されているデータは消去できていない状態ですので注意してください。完全にパソコンのデータを消去するためには、HDDを破壊する方法があります。カナヅチやカッターなどでHDDを破壊する物理的破壊でも構いませんが、簡単な消去方法としてはソフトを使った消去法がおすすめです。消去専用のソフトを活用することで、簡単にパソコンのデータを消すことができます。

4-2.悪徳業者に注意しよう

パソコンの回収を行っている業者の中には、不正を働く悪徳業者が存在しているので注意しなければなりません。たとえば、「回収後に不法投棄されていた」「高額な費用を請求された」などのトラブルが相次いでいます。悪徳業者とのトラブルを未然に防ぐためには、慎重に回収業者を選ぶことが大切です。早く処分したからといい加減に回収業者を選んでしまえば、悪徳業者に引っかかりやすくなります。最低でも3~4社の回収業者を比較し、それぞれどのようなサービスを行っているのかホームページをチェックしてください。複数の業者を比較することで、悪徳業者が見極めやすくなります。

4-3.回収業者選びのポイントを要チェック!

たくさんの回収業者の中からどこに依頼すればいいのか分からなくなりますよね。そんなときは、以下のポイントに注目して選ぶといいでしょう。

  • サービス内容についてホームページに詳しく記載されているか
  • 不用品回収や買取実績があるか
  • 無料相談や無料見積もりを受け付けているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • 見積書の内容が具体的に記載されているか
  • 実際に利用した人の口コミや評判がいいか
  • 即日対応が可能か

5.パソコンの処分に関してよくある質問

パソコンの処分に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.法人で使ったパソコンを処分する方法は?
A.法人で使用したパソコンは産業廃棄物扱いとなります。基本的に、PCリサイクル法が適用されるのは個人で使用したパソコンだけです。よって、産業廃棄物となる法人で使用したパソコンは、産業廃棄物収集運搬の許可を取得している回収業者へ依頼することになるでしょう。きちんと許可を取得している回収業者に依頼しなければトラブルになるため、十分に注意してください。

Q.どんなパソコンが買取対象になるのか?
A.最新機能がついているパソコンや発売されたばかりの新モデルは、買取業者やリサイクルショップで高く売れる傾向があります。一般的に、中古市場で需要があるパソコンは高く買い取ってもらうことができるでしょう。売りたいパソコンがいくらぐらいになるのか知りたい方は、複数の業者に無料査定を依頼してみてください。また、買取業者のホームページで買取実績をチェックするのもいいでしょう。あらかじめ買取相場を把握しておけば、適切な金額で売ることができるはずです。

Q.PCリサイクル法の対象品目になっているものは?
A.PCリサイクル法の対象品目になっている機器は以下のとおりです。

  • デスクトップパソコン本体
  • ノートブックパソコン
  • CRTディスプレー
  • 液晶ディスプレー
  • CRTディスプレー一体型パソコン
  • 液晶ディスプレー一体型パソコン

なお、プリンター・スキャナー・ワークステーション(サーバー)などの周辺機器はPCリサイクル法の対象外です。これらは自治体のルールに基づき処分するか、不用品回収業者に依頼する方法で処分することになるでしょう。

Q.小型家電リサイクル法とは?
A.さまざまな小型家電に含まれている資源を再活用するために制定された法律です。PCリサイクル法と似ている内容ではありますが、小型家電リサイクル法は全国で統一されているものではありません。各自治体によって決められているルールになるため、自治体の中には小型家電リサイクル法に基づいていないところもあります。小型家電リサイクル法に基づいている自治体では、小型家電を正しくリサイクル回収しなければなりません。公共施設や家電量販店に設置されている小型家電回収ボックスに投かんする形で小型家電を処分することになるでしょう。

Q.パソコンデータを消去する際の注意点は?
A.パソコンのデータを消去する前に、必ずバックアップを取っておかなければなりません。バックアップを取るのはHDDデータが主になりますが、メールの送受信データやお気に入りに登録したデータなども忘れずにバックアップを取りましょう。バックアップを取る方法としてはクラウドサービスを利用したり、外付けのHDDに保存したりする方法があります。パソコンデータのバックアップはさまざまな方法がありますが、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

まとめ

パソコンにはネオジム・タンタル・ジスプロシウムなどのレアメタルが含まれています。含有量は1トンの基板あたり数十〜数百グラムですが、その量が貴重ですのでリサイクルをして再活用していかなければなりません。パソコンをゴミとして処分するのは、それらの資源を無駄にしていることと同じです。回収業者の中には、パソコンをリサイクルしているところもあります。パソコンを処分する前にデータを完全消去しなければなりませんが、自分でするのが不安な方は回収業者に依頼することも可能です。不正を働く悪徳業者が存在しているので、慎重に複数の業者を比較し、信用できるところに依頼してくださいね。