遺品をもらうときに起こりやすいトラブルは? 〜事前に確認すべきこと〜

「遺品を受け取ってもいいのか」「後でトラブルになってしまうのでは?」など、遺品をもらうとき、不安になったり疑問を感じたりする方が多いでしょう。特に、価値があるものや故人が大切にしていたものは、なおさらそのままもらっても良いか悩むものです。

そこで、本記事では、遺品をもらうときに起こりやすいトラブルや事前に確認すべきことを解説します。

  1. 遺品でもらうものにはどんなものがあるのか?
  2. 遺品をもらうときに注意が必要なものは?
  3. 遺品をもらうときに起こりやすいトラブルは?
  4. トラブルを避けるための注意点は?
  5. 遺品に関してよくある質問

この記事を読むことで、遺品トラブルを避けるための注意点などが分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.遺品でもらうものにはどんなものがあるのか?

最初に、遺品でもらうものにはどんなものがあるのか、チェックしておきましょう。

1-1.故人との思い出の品

遺品はあくまで故人の所有物であり、故人との思い出がたくさん詰まっているものです。主に、遺品でもらうものは、故人とその人との思い出の品がほとんどでしょう。たとえば、小さいころに買ってもらった衣類やおもちゃ・本・雑貨類などさまざまな種類があります。「これはこの人に渡してほしい」と故人が生前に書き記した遺言書が残っている場合は、その内容に従って形見分けを行うことになるので注意が必要です。形見分けは相続者同士で話し合いながら行ったほうが、後でトラブルにならずに済むでしょう。

1-2.家電・家具などの家財道具

故人が日常生活で使っていた家電や家具などの家財道具も、もらうことができる遺品です。故人が大切に使っていたから、という理由もありますが、主に「もったいないから」「ちょうど必要だったから」などの理由でもらうケースが多いでしょう。まだ使える状態なのに捨てるのはもったいないことです。使えるものはもらい、買取に出す方法もあります。

1-3.アクセサリーや宝石などの貴金属

遺品の中で形見分けで最も悩むのは、アクセサリーや宝石などの貴金属類です。貴金属は価値があるものばかりなので、親族間でトラブルになりやすい傾向があります。遺言書に記載されていればその内容に従えば良いのですが、具体的に記載されていない場合、相続者や親族同士で話し合って決めなければなりません。

2.遺品をもらうときに注意が必要なものは?

それでは、遺品をもらうときに注意が必要なものを解説します。

2-1.不幸な死を遂げてしまった人の遺品

遺品の多くは相続者がもらうことになりますが、故人が親しかった友人や知人などにも形見分けを行うケースがあります。故人と親しい付き合いをしていて遺品をもらう場合、亡くなったときの状況によって注意しなければなりません。たとえば、自殺や事件など、不幸な死を遂げてしまった場合です。不幸な死が原因というわけではありませんが、その遺品をもらった方の身に何か起きてしまう可能性があります。遺品をもらう際は、お焚(た)き上げを行い供養してもらったほうが安全です。または、人目の触れないところに仕舞(しま)いこんでおくといいでしょう。

2-2.所持してはいけない遺品もある

遺品のすべてをもらうことができると思われがちですが、遺品の中には所持してはいけないものもあります。たとえば、ダガーナイフや刀などです。祖父や父が昔軍隊に所属していて、その当時の軍刀を見つけたり、日本刀を密(ひそ)かに保管していたりするでしょう。基本的に、刀類を所持するには登録証が必要になるため、警察に発見届を出すか、教育委員会へ依頼しなければなりません。登録証を持たないまま所持したり、携帯して持ち出したりすることは禁じられています。

2-3.相続税・所得税の対象になることも

価値がある遺品は遺産とみなされてしまうので、相続税の対象になることがあります。たとえば、土地・建物などの不動産、コレクション品・宝石などの貴金属、金やプラチナなどの地金、株式などの有価証券です。資産は遺産として扱われるため、もらい受けた後に売却すると所得税の対象にもなります。相続後に売却する場合は所有権が相続人になるので相続税が課されることはありませんが、売却によって売却益が生じたら譲渡所得として所得税+住民税がかかるでしょう。その点は注意しておかなければなりません。

3.遺品をもらうときに起こりやすいトラブルは?

ここでは、遺品をもらうときに起こりやすいトラブルをいくつか紹介します。

3-1.親族間のトラブルに巻き込まれる

遺品を受け取る際によくあるのが、親族間でのトラブルです。「これは自分がもらう予定だった」「なぜあなたにあげないといけないのか」など、遺品や遺産目当てにトラブルへ発展するケースがしばしば見られます。遺言書があれば、その内容どおりに遺品を分けることができますが、特に遺言書などがない場合は相続者同士で話し合って形見分けを決めなければなりません。相続者が複数いる場合、1人が勝手に遺品整理を進めてしまうとトラブルになってしまうので注意が必要です。できれば、親族や家族が集まりやすい四十九日などの法要で遺品整理を行いましょう。

3-2.相続放棄をするつもりだったのに……

遺品をもらったり分けたりする場合、遺品整理を行うことになりますが、相続放棄を検討している方でよくあるのが遺品整理をしてしまった際は注意が必要です。遺品整理をしたために、相続放棄できなくなってしまったというトラブルが起きています。相続放棄をする場合、遺品整理をしてしまうと相続する意思があるとみなされ相続放棄ができなくなるのです。遺品整理を行ってから相続放棄をしたいと思っても手続きが踏めなくなってしまいます。そのため、相続放棄を検討したり遺品をもらう予定がなかったりする場合は、遺品整理に手をつけないようにしてください。

3-3.形見分けのトラブルに要注意

形見分けを行う際、誰が何をもらうか揉(も)めたり、勝手に遺品を持っていかれたり、知らない人が形見分けに来たりするなどのトラブルが起きやすいので注意が必要です。実際に、遺品整理業者へ遺品整理を依頼したところ、価値があるものを勝手に持ち運ばれてしまったという事例が起きています。親族同士でも早い者勝ちとばかりに高価なものを勝手に持っていく人がいるのです。トラブルになるのは当たり前なので、形見分けは節度を持って進めることが大切なポイントとなります。

4.トラブルを避けるための注意点は?

では、トラブルを避けるためには、何に注意すればいいのでしょうか。

4-1.相続者全員に遺品整理を行う日について伝える

まずは、相続者全員がそろってから遺品整理を行うことが大切です。価値のある遺品がたくさんあるほど自分のものにしたい気持ちが出てくると思いますが、勝手に遺品整理を進めてしまうとトラブルへ発展してしまう恐れがあります。トラブルを未然に防ぐには、相続者や親族に遺品整理の日をきちんと伝えることが大切です。無断で遺品整理を行ったり、形見分けをしたりしないように心がけましょう。また、形見分けの話し合いを行う際は、冷静になることも大切です。知らない人が形見分けに来て「もらうと約束した」といっても、感情的にならず冷静に進めましょう。

4-2.価値があるものは財産分与に

貴重なものや高価なものがあった場合、親族でトラブルになりやすい傾向があります。誰が何をもらうのかトラブルになりそうなときは、形見分けではなく財産分与すべきです。財産分与は法的な定めによって、相続者同士で財産を分与する作業となります。遺品整理は相続時の財産分与にも影響するからこそ、価値があるものは慎重に仕分けていかなければなりません。たとえ、遺品整理業者に依頼したとしても、できるだけ一緒にその場にいて遺品整理を進めましょう。また、自分たちで遺産か遺品か判断できない場合は、法律に詳しい弁護士などに相談するのも方法の1つです。

4-3.てきぱきと遺品整理を進める

遺品整理や形見分けを行うタイミングは人それぞれですが、四十九日を目安にてきぱきと進めることがトラブル防止へつながります。相続税がかかる遺品は、期日までに手続きを済ませなければならないからです。また、故人が賃貸物件で生活をしていた場合、退去日まで遺品を整理しなければなりません。誰が何をもらうのか揉めてしまうと時間が経過してしまい、家賃を支払わなければならなくなります。遺品がたくさんあるほど時間がかかるため、あらかじめ大まかなスケジュールを決めておくことも大切なポイントです。

4-4.自分で判断して勝手に捨てない

「これは必要ないものだから」「ゴミと一緒」などと自分で勝手に判断して処分するのはNGです。親族や家族で話し合いながら形見分けを行うのはもちろん、処分に迷うものでも1度合意を得てから処分するか決めましょう。たとえ、自分にとってはゴミと同様のものでも、ほかの人にとっては故人と思い出深い品かもしれません。また、遺品の中には故人の所有物でないものも含まれることがあります。所有者不明で財産価値がなければ捨てていいと思われがちですが、後でトラブルにならないためにも確認が取れるまで手元に残しておきましょう。

5.遺品に関してよくある質問

遺品に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.遺品と遺産の違いは?
A.貯金等の現金・土地などの不動産・車・貴金属・株といった故人の財産とされるものを遺産といいます。遺産は遺産分与されるものと民法によって定められているため、遺産相続等の兼ね合いで個人が勝手にもらうことはできません。一方、遺品は故人が生前所持していたものが当てはまります。主な遺品としては、雑貨・衣類・本・家具や家電などの家財道具になるでしょう。遺品は遺産と違って、親族の合意によって分けることができます。

Q.金庫をもらうときの注意点は?
A.中に何が入っているのかきちんと確認してからもらうことです。金庫=価値があるものというイメージがあるため、中を確認せずに譲り受けてしまうケースがあります。細かく確認せずにもらってしまうと、財産価値のある遺品をもらい相続税がかかってしまうかもしれません。金庫だけでなく、タンス類など中身があるものは必ず確認してからもらいましょう。

Q.譲渡所得税とは?
A.30万円以上で遺品が売れた場合に発生する税金のことです。最高50万円までは特別控除として認められますが、納税が必要になるケースもあります。ポイントは、遺品でも所有者が自分になったことで相続税ではなく譲渡所得となることです。相続税と譲渡所得はまったく別の話になるので、その点は注意しておかなければなりません。

Q.もらった遺品を売却してもいいのか?
A.買取専門店やリサイクルショップ等で遺品を売却しても構いません。実際に、遺品の中でまだ使えるものをインターネットオークションやフリマアプリなどで売却している方がいます。中には、高額で売れるものもあるため、処分費用の節約につながるでしょう。ただし、前述したように、30万円以上の利益を得たりした場合は、譲渡所得税がかかるので注意してください。

Q.遺品の量が多いときの整理のコツは?
A.自分たちで遺品整理ができないほど量が多い場合は、遺品整理業者の力を借りるといいでしょう。遺品整理業者は遺品の扱いに長(た)けているプロなので、的確かつスピーディーに作業を進めてくれます。また、要らないものもまとめて処分してくれる大きなメリットがあるでしょう。ただし、中には遺品を不当に扱ったり回収したものを不法投棄したりする悪徳業者が存在するため、業者選びには十分な注意が必要です。できるだけ、遺品整理の実績があるところや遺品整理士が在籍している業者を選びましょう。

まとめ

宝石・貴金属・コレクション・車・衣類など、遺品でもらえるものはたくさんありますが、もらえるからといって安易に受け取るとトラブルに巻き込まれることもあるので注意が必要です。特に、故人が不慮の死を遂げたり、法律に触れたりするものは後でトラブルになる可能性が高いといえるでしょう。事前に確認すべきことをしっかりとチェックし、受け取っても大丈夫な遺品かどうか判断しなければなりません。故人の大切なものほど、丁寧に扱うことを心がけましょう。