耐震改修促進法とは? 一般住宅にも補助金が出るって本当?

1995年に起きた阪神淡路大震災では、多くの建物が倒壊して下敷きになった方が亡くなりました。
これを教訓に制定されたのが「耐震改修促進法」です。
ではこの「耐震改修」とは具体的にどのようなことをするのでしょうか?
そこで今回は耐震改修促進法や、それに基づいた耐震改修促進計画についてご説明します。
自治体によっては耐震改修を行うと補助金が出るケースもあるのです。
自宅を耐震改修したいという方や耐震改修に興味がある方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

1.耐震改修促進法とは?

この項では、耐震改修促進法についてご紹介します。
いったいどのような法律なのでしょうか?

1-1.発足は1995年

耐震改修促進法制定のきっかけは、1995年に起こった阪神淡路大震災です。
この地震では21万棟の家屋が倒壊し、多くの方が倒壊した家屋の建物の下敷きになって亡くなりました。
倒壊した建物の9割弱が、古い木造住宅だったそうです。
この報告を受けて制定されたのが、耐震改修促進法。
この法律は、1981年(昭和56年)以前に建てられた現在の新耐震基準を満たさない建築物について積極的に耐震診断や改修をすすめるものです。

1-2.2005年に改定

この耐震改修促進法は、2005年に改定されました。
大地震の発生に備えて学校や商業施設など大規模な不特定多数が出入りする施設の耐震診断・改修を早急に進めるため、数値目標を盛り込んだ計画の作成を都道府県に義務付けたのです。
この時の目標は、現在の耐震基準に満たない建物の90%でした。
ですから、この時期から古い建物の耐震工事が一気に進んだのです。
しかしその反面、耐震基準を満たせないホテルや商業施設が次々と閉鎖していくようにもなりました。

1-3.2013年に再度改定

2011年に東日本大震災が発生し、多くの方が犠牲になりました。
この震災は津波の被害者が多かったのですが、この地震をきっかけに耐震改修促進法はさらに改正され、2013年に耐震診断・改修をすすめる建物を拡大すると同時に、各種支援の方法が拡大されたのです。
以前の法律では耐震診断や耐震改修は建物の持ち主の自己負担で行われていましたが、現在は自治体の補助を受けることができます。
また、個人の住宅はこの耐震改修促進法の対象外ですが、自治体によっては1981年以前に建てられた古い住宅の耐震診断や耐震改修の費用の一部を補助してくれるところもあるのです。

2.耐震改修を実施すべき建物とは?

耐震改修促進法の対象になるのは1981年(昭和56年)以前に建てられた不特定多数が出入りする、3階建以上でかつ床面積が1,000㎡以上の建築物や、倒壊した際に道路をふさぐ可能性がある建物です。
この道路をふさぐ可能性がある建物については、建物の種類は問われません。
分譲や賃貸マンションでも対象になる可能性があります。
大規模商業施設やホテルや旅館、学校などは1981年以前に建てられたものがたくさんあるのです。
あちこちリフォームはしていますが、骨組みなどはそのままという所も多いでしょう。
そのような建物も耐震診断を受けて必要ならば改修しなくてはなりません。
また、前述したように一般の住宅やマンションは、耐震改修促進法の対象外です。
しかし日本は20年間に2度も大震災に襲われ、今現在も南海トラフ大地震の発生が危惧されていますから、自宅の耐震診断や耐震改修をしたいという人も増えています。
そんな方向けに自治体が一定額の補助金を出す動きも活発になっているのです。

3、耐震改修の方法とは?

では、耐震改修にはどのような方法があるのでしょうか?
この項ではそれをご紹介します。

3-1.建てなおす

どんな補強方法を使っても、建物の耐震基準が上がらなければ建てなおすしかありません。
ただし、現在の建築基準法に沿って作りなおした場合、元の建物と同じものができるとも限らないでしょう。
また、多額の費用もかかりますので、補助が出るとはいえすべての建物に行えるわけでもありません。

3-2.耐震工事

多くの建物で実施されている耐震改修の方法です。
建物の壁を補強したり筋交いを設けたりして、耐震強度をあげます。
こちらは建物を壊さずに済むので、学校や病院など自治体が運営する公共施設などでもよく行われているでしょう。
ただし、窓をつぶしたり筋交いを建物の外側に取りつけたりするので、建物の見栄えが悪くなる可能性が高いです。
ですから外見がオシャレな建物は、工事をためらう所も少なくありません。

3-3.免震工事

最も新しい耐震改修方法のひとつです。建物の土台と建造物の間に特殊な器具をはさみこみ、地震の揺れを建物に伝わらないようにします。どちらかといえば新築の建物に使われることが多いですが、土台だけを残して建物を壊して改めて作り上げる場合は、この方法が選ばれることもあるのです。
激しい地震が来ても免震装置があれば、揺れはほとんど伝わりません。
また、建物の外観を損なわずに済むので、外観が特徴的な古い建物を耐震改修したいときにも用いられるでしょう。
ただし、費用が高額になるので、実施できる建築物は限られます。

3-4.制震工事

制震工事とは制震ダンバーと呼ばれる装置を壁やかすがいに設置することで、装置に揺れを吸収させる耐震改修工事です。
なにやら大掛かりな工事のように思えますが、制振装置は小さなものが多いので、実際は最も安価にできる耐震工事として一般住宅でも広く行われています。
また、制震工事は高い建物ほど効力を発揮するのです。
地震の揺れは高い建物の上層部ほど激しく伝わります。
実際、東日本大震災の時でも、震度3だった大阪市の市役所の高層階の壁がはがれおちる被害がありました。
ですから、マンションの高層階でも制震ダンバーが活躍しているのです。
また、制震工事の特徴は費用の安さ。耐震工事や免震工事の数分の一の価格で行えます。
さらに、工事の期間も短いので耐震改修促進法の対象以外の住宅にもおすすめでしょう。

4.自治体からの補助を利用するには?

耐震改修促進法の対象となる建物以外でも、自治体では耐震改修に補助金を出している所があります。
2013年の法改定以降では、国が補助の一部を負担してくれるようになりましたから、補助を実施する自治体は増えているでしょう。
どのくらいの補助が、どの建物にでるのかは自治体によって違います。
ですから自治体のホームページを見たり、担当課に問い合わせてみてください。

4.おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は耐震改修促進法についていろいろとご説明しました。
まとめると

  • 耐震改修促進法とは、1981年以前に建てられた一定の広さを持つ建物に、耐震診断を受けさせたり耐震改修をすすめる法律である
  • 2001年に、各自治体の耐震改修促進法の対象となる建物の90%に耐震診断や耐震改修を受けさせるように義務付けられた
  • 一般住宅は耐震改修促進法の対象外だが、自治体が補助金を出してくれることも多い

ということです。1981年といえば34年前ですが、築30年以上の建物は珍しくありません。
特に鉄筋コンクリート製の建物は木造住宅よりも丈夫で長持ちしますから、築40年を超えても現役な所が多いのです。
ですから、一刻も早くすべての建物に耐震診断や、耐震改修をほどこす必要があるでしょう。
一般住宅でも同じことがいえます。
地震が来てからでは遅いのです。
機会があればぜひ耐震診断を受け、耐震改修を行ってください。