ブドウ球菌による食中毒とは?症状や予防法をご紹介します。

食中毒というと暑い時期に発生しやすいもの、というイメージがあります。
しかし、空調が発達した現在では冬でも食中毒が発生することは珍しくないのです。
そこで、今回はブドウ球菌による食中毒の症状や予防方法をご紹介します。
ブドウ球菌は、決して珍しい金ではありません。
普通に皮膚の上に存在する菌です。
しかし、条件を満たすと非常に厄介な毒素を発生させます。
興味がある方や食物を扱っている職場で働いている方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

1.ブドウ球菌とはどんな細菌?

ブドウ球菌とは、顕微鏡で見るとブドウの房のように見える細菌のことです。
いくつかの種類がありますが、私たちの身近にあって食中毒の原因となるのは「黄色ブドウ球菌」という種類になります。
黄色ブドウ球菌は、おできやニキビ、さらに水虫などの原因にもなる「化膿(かのう)性疾患」の代表的な原因の菌でもあるのです。
ですから、健康な方でも鼻の中などに常駐しています。
さらに、動物の皮膚や腸の中、さらにほこりの中などからもよく検出されるのです。

2.黄色ブドウ球菌が原因の食中毒とは?

この項では、黄色ブドウ球菌が食中毒を起こす仕組みと、その症状などをご紹介します。
いったいどのような特徴があるのでしょうか?

2-1.食中毒発生のメカニズム

黄色ブドウ球菌が食べ物の中で増殖すると、「エントロキシン」という毒素を出します。
この毒素が、食中毒の原因になるのです。
この毒素は厄介なことに菌が死滅しても消えることはありません。
黄色ブドウ球菌は高熱に弱く80度以上の熱で死滅します。
しかし、エトロキシンは100度の熱を30分加えても死滅しないのです。
また、塩分や低温にも強いため、一度黄色ブドウ球菌に汚染されてしまうと、どのような食品でも食中毒が発生するでしょう。

2-2.食中毒の症状とは?

黄色ブドウ球菌の食中毒は、潜伏期間が1~5時間と比較的短いのが特徴です。
ですから、夕飯に汚染された食物を食べたとすると、夜中に発生することが多いでしょう。
主な症状は吐き気や腹痛、下痢です。熱はあまり上がりません。
しかし、症状が激しくなるとショック症状が起こることがあります。

2-3.食中毒の治療法とは?

黄色ブドウ球菌による食中毒は、菌が出す毒素が原因です。
ですから、抗菌薬などの治療は必要ありません。
脱水症状にならないように点滴をしたり脈拍を管理したりするのが主な治療法になります。
幼児や高齢者は重症化しやすいので、症状が出た時点ですぐに病院へ行きましょう。
また、成人でも症状のひどさによっては脱水症状になることもあります。
吐き気や下痢が止まらない場合は、ぬるま湯を少しずつ飲みながら様子を見ましょう。
危ないと思ったら、救急車を呼んでも構いません。

3.黄色ブドウ球菌が繁殖しやすい食べ物とは?

前述したように、黄色ブドウ球菌はあらゆる食べ物で繁殖が可能です。
たとえば、スープのような熱い料理でも100度で30分も加熱することはまれでしょう。
そのため「こんなもので?」と思うような料理が原因になることもあります。
しかし、実際は穀類やその加工品が原因となることがほとんどです。
日本ではおにぎりによる発症が約4割をしめます。
おにぎりは、手で握りしめて作り時間をおいてから食べることが多いです。
そのため、より黄色ブドウ球菌が発症しやすいでしょう。
そのほかには、仕出し弁当や和菓子、洋生菓子など人の皮膚が触れることが多い食物が、より感染源になりやすいです。

4.黄色ブドウ球菌による食中毒を予防する方法とは?

この項では、黄色ブドウ球菌による食中毒を予防する方法をご紹介します。
食物を扱っている方だけでなく家で調理をする方も、ぜひ参考にしてください。

4-1.手の消毒を十分にする

黄色ブドウ球菌からエントロキシンが発生してしまったら、その毒素を消すことは非常に困難です。
ですから、食物に黄色ブドウ球菌がつかないようにすることが、予防の第一歩。
調理する前に、手をよく洗って消毒しましょう。
市販の消毒スプレーや石けんで十分です。
調理中に調理場以外の場所へ行って帰ってきたときも、よく手を洗ってください。

4-2.手に傷がある人は調理をしない

黄色ブドウ球菌は傷口を化膿(かのう)させます。ですから、傷などがあるとそこに集まることが多いでしょう。
そのため、手に傷がある方や化膿(かのう)した傷口がある方は、調理にかかわらないようにしてください。
そのような手には、黄色ブドウ球菌が通常の人よりもたくさん発生していることが多いのです。
また、調理中に包丁などでケガをすることは珍しくありません。
ケガをしたら血液をよく洗い流し、消毒した上でばんそうこうをはりましょう。
その後は、調理用の薄いビニール手袋などをはめて調理してください。

4-3.食材を10度以下で保存する

黄色ブドウ球菌は、20度以上の室温で活発に繁殖します。
ですから、食材は10度以下で保存するように気をつけましょう。
特に、要注意なのはごはんです。
残ったごはんをおにぎりにする場合、室温で保管しておいたごはんを使うことは珍しくありません。
しかし、これでは黄色ブドウ球菌が繁殖しやすいのです。
残りごはんでおにぎりを作りたい場合は、一度冷凍保存したごはんをレンジで温めておにぎりを作りましょう。
これならば、黄色ブドウ球菌が繁殖しにくいです。
また、お弁当は完全に冷ましてからふたをしめましょう。

4-4.冬だからといって油断しないこと

黄色ブドウ球菌による食中毒は、毎年5月~9月くらいまで発生件数が増えます。
しかし、現在は冬だからといって油断できません。外は寒くても室内には暖房が効いています。
ですから、黄色ブドウ球菌が繁殖しやすい温度になっているところが多いのです。
また、冬は胃腸かぜなどの感染症が流行(りゅうこう)する季節でもあります。
激しいおう吐や下痢の症状が起こっても、かぜか食中毒か区別がつかないことも多いでしょう。
そのため、病院の受診が遅れることもあります。
冬に暖かい室内で数時間保存したお弁当を食べる場合は要注意です。
場所によっては夏並みの室温になることもあるので、必要ならば保冷剤などを入れておきましょう。
また、生野菜などを仕切りやいろどりに使うと食中毒が発生しやすいです。い
ろどりが欲しい場合はラバーカップなどを利用するとよいでしょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回はブドウ球菌が原因の食中毒の症状や予防方法などについて、ご紹介しました。
黄色ブドウ球菌による食中毒は命にかかわるもものではありません。
2~3日もすれば症状も弱まり、後遺症などもないでしょう。
しかし、飲食店や施設で食中毒を出してしまった、となると店や施設の評判は一気に下がります。
中には、そのまま閉店になることもあるでしょう。
黄色ブドウ球菌は、どこにでもいるありふれた菌です。
ですから、細菌事態をシャットアウトすることはできません。
そのため、消毒や手洗いを徹底しましょう。
可能ならば、調理器具も使う前に消毒してください。
手で触った調理器具にも黄色ブドウ球菌が繁殖していることも珍しくないのです。
また、ご家庭でおにぎりを握る場合は、ラップで握りましょう。
冬とはいえ、温かい室内ではブドウ球菌が繁殖しやすいです。
このような食中毒を防ぐ工夫を心がけましょう。