間取りしだいで耐震の性能が変わるって本当? 地震に強い間取りとは?

日本は地震が多い国です。
ですから、ほかの国よりも住宅の耐震技術が進歩しています。
また、1996年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災の教訓をいかして、耐震基準法も改正されているのです。
しかし、たとえ耐震基準法に沿って建てられた家でも、間取りによっては地震に弱くなるケースがあるでしょう。
そこで、今回は間取りと耐震の関係についてご説明します。
地震に強い間取りと弱い間取りの違いは何でしょうか?
また、地震に強い間取りの特徴もご紹介しますので、これから家を建てたり買ったりする方はぜひ参考にしてください。

1.地震に強い家とは?

まず始めに、地震に強い家の特徴をご紹介します。
「地震に強い家」とよくCMや広告で紹介されていますが、具体的なことが分からない方も多いでしょう。

1-1.壁が多い家

日本の伝統的な家屋は、地震に弱いと言われています。
これは、柱とはりで屋根を支える構造のせいです。
強い地震が起こって柱やはりが折れると、屋根が一気に落ちてきます。
阪神淡路大震災では、古い日本家屋の倒壊が多かったのです。
逆に2×4工法に代表される壁が多い家は、強いゆれが起きても壁が屋根を支えます。
ですから、窓が少なく壁が多い家ほど、地震に強いのです。

1-2.正方形に近い家

家は正方形に近いほど、地震に強いと言われています。
ですが、完全に正方形の家というのは、土地の形も関係してなかなか造りにくいでしょう。
ですから、より地震に強い家を造りたい場合は、壁の長さの差をできるだけ少なくしてください。

1-3.部屋数が多い家

内部が空洞の物体より内部にものが詰まっている物体の方が、横からのゆれに強いです。
ですから、1部屋が広い家よりも部屋数が多い家の方が地震に強いでしょう。
ただし、部屋数が多いと言ってもふすまで仕切ってあるだけの家は強度不足です。
柱や壁などがきちんと配置されている家でなくては、強い地震があった場合に倒壊の危険があります。
ですから、吹き抜けの広い部屋のある家を造る場合は、施工会社などと相談してほかの部分で耐震強度をアップさせましょう。

2.こんな家は要注意

では今度は、耐震基準法を満たしているものの、強い地震が起きたら危険な間取りをご紹介します。
間取りを見るだけで分かることも多いのです。

2-1.角に近い部分が窓になっている間取り

地震に強い家にするためには、壁と窓のバランスも大切です。
地震に強い家は、角に壁がバランスよく配置されています。
しかし、家の角に近い部分が窓になっていたり窓同士が家の角で合わさっていたりすると、その分家は地震に弱くなるのです。
家の角が窓になっていると採光は抜群ですが、耐震強度はいまひとつになりやすいでしょう。

2-2.壁の長さに差がありすぎる間取り

「ウナギの寝床のような間取り」という比喩がありますが、入り口が狭く奥行きが長い間取りは地震に弱いです。
建物の短い辺に強い力がかかった場合、耐えきれずに倒壊してしまうケースが多いでしょう。
地方によっては、このような間取りの家が半ば名物になっている地域もあります。
ですが、耐震性という面ではあまりお勧めできません。

2-3.複雑な形の家

L字型やコの字型の家は、地震の際に建物ごとにかかる力が異なってきます。
ですから、強い地震が起こると建物の境界部から壊れやすいでしょう。
また、でこぼこが多い家も平面が多い家より壁が弱く、強い地震に耐えきれないケースが多いです。

2-4.12畳以上の部屋がある間取り

大きな部屋や吹き抜けの部屋は、家を広く見せてくれます。
しかし、12畳以上の部屋を作ると、家の耐震度が下がるでしょう。
前述したように大きな部屋を家の中に作る場合は、ほかの耐震方法を施行してください。
また、ふすまを取り払うと続き部屋になるようにする場合も同じです。

2-5.リフォームして壁や柱を取り払った間取り

リフォームして家の壁や柱を取り払った場合、家のバランスが崩れて耐震強度が下がることがあります。
中古住宅を購入してリフォームする場合は、注意しましょう。
特に、6畳間や8畳間をつなげて広い部屋を作る場合は要注意です。
このようなリフォームを行う場合は、入念な計画を立てて行いましょう。
信頼できる工務店に依頼することも大切です。
また、中古住宅を借りたり買ったりする場合は、リフォームの有無を確かめましょう。

3.間取りを考える際の注意点とは?

では、最後に家の間取りを決める際の注意点をご紹介しましょう。
オシャレな間取りは魅力的ですが、デザイン性ばかりを優先すると耐震強度が下がってしまうかもしれません。

3-1.壁と窓のバランスを考える

壁一面の窓は、風も通りますし採光も抜群です。
しかし、前述したように家の角に近い部分を窓にしたり窓同士が角で合わさっていたりすると、耐震強度が落ちます。
特に、2階以上の建物を建てる場合は不用意に大きな窓を造らないようにしましょう。
大きな窓が欲しい場合は、工務店とよく相談して耐震強度が落ちない場所に造ってください。
リフォームをする場合も同様です。
特に、古い日本家屋の場合は、窓が多く壁が少ないでしょう。
このような家の場合は、リフォームで壁を増やすと耐震強度がアップします。

3-2.四角い家が一番強い

デザイン性を重視し、変わった形の家はオシャレです。
しかし、地震が多い地域や地盤が弱い場所に建てる場合は、四角い家が最も適しています。
変わった形の家を建てたい場合は、地震が少ない地域の頑丈な地盤の上に建てましょう。
また、土地の関係でL字型の家やコの字型の家を建てる場合は、境界部の耐震補強をしっかりと行ってください。

3-3.2階の重さに気をつける

2階建ての家を建てる場合は、屋根の重さに加えて2階部分の重さも1階にかかってきます。
ですから、建物の隅柱は通し柱にしたり接合部を金具で補強したりするなどしておきましょう。
また、2階に重いものを置きすぎると1階への負担もその分強くなります。
ピアノや重い本棚はできるだけ1階に置くなど、2階を軽くする工夫をしましょう。
また、2階に部屋を作りすぎると、壁や柱の分だけ重くなります。
2階に複数部屋を作る場合は、ふすまなどで間仕切りができるようにするなど工夫しましょう。
地盤調査をして、軟弱な地盤だった場合は、地盤沈下の危険もあります。
工務店などともよく相談しましょう。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は、地震に強い間取りと弱い間取りについてご説明しました。
まとめると

  • 家の角が窓の場合は耐震強度が下がりやすい
  • ウナギの寝床のように間口が狭く、奥行きのある間取りは地震に弱い
  • 正方形に近い家ほど地震に強い
  • リフォームなどで、壁を取り去って部屋を広くした家には注意する

ということです。
日本の建築基準法は、世界で最も厳しいと言われています。
しかし、いくら法律に沿っていてもデザインしだいで耐震強度は下がってしまうでしょう。
また、リフォームも不用意に行えば耐震強度を下げます。
特に、部屋数を減らすリフォームをする場合は要注意でしょう。
さらに、土地の都合で家の形が四角形以外の形になる場合は、施工会社とよく相談して境界部分の耐震強度をあげておくとよいですね。
また、地震が起きた際にL字型やコの字型の家の場合は、境界部から離れておくことも大切でしょう。
家族構成が変化して2階が物置状態になっている方は、一度荷物を整理して家を軽くしてみませんか?