死亡後の年金を受け取るポイントは? 手続きの流れや注意点を詳しく!

「家族の死亡後に年金を受け取るには、どんな手続きをすればよいのだろう」「親の死亡後に年金を受け取るポイントを知りたい」とお考えではないでしょうか? 配偶者や親などが亡くなった場合、条件を満たせば未支給年金などを受け取ることが可能です。そのためにも、まずは、どんな条件を満たせば支給されるのか、どこでどんな手続きをすべきかなど正しく理解する必要があります。

そこで今回は、死亡後の年金を受け取るポイントについて詳しく解説しましょう。

  1. 年金受給者の死亡後に確認すること
  2. 年金の受給を停止する手続き
  3. 未支給年金を請求する方法
  4. 遺族年金を請求する方法
  5. 年金の手続きについて相談するには?
  6. 死亡後の年金に関するよくある質問

この記事を読むことで、死亡者の年金手続きをスムーズに進めるコツがよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。

1.年金受給者の死亡後に確認すること

最初に、年金受給者の死亡後に確認すべきことを詳しく見ていきましょう。

1-1.死亡者の年金番号・種類などを調べる

年金受給者が死亡したら、以下のような内容を調べましょう。未支給年金や遺族年金などを請求する際に必要です。

  • 年金手帳・年金証書の有無
  • 基礎年金番号(年金手帳や年金の振り込み通知書などに記載)
  • 年金が振り込まれている金融機関および預金通帳

1-2.死亡者の年金を受け取れる人は?

死亡者の年金は受け取れるのは、以下のような条件を満たす人です。

  • 死亡者との間柄が三親等内である
  • 死亡者が亡くなった時点で生計を共にしていた

三親等内の親族に当てはまる範囲については、日本年金機構の三親等内の親族ページを参考にしてください。

2.年金の受給を停止する手続き

年金の受給を停止するのに必要な手続きや注意点を詳しく解説します。

2-1.受給権者死亡届(報告書)を提出する

年金の受給を停止するには、受給権者死亡届(報告書)を提出する必要があります。受給権者死亡届(報告書)のフォーマットは、役所の窓口もしくは日本年金機構の年金を受けている方が亡くなったときページから入手可能です。提出先は、全国の年金事務所または街角の年金相談センター窓口となります。なお、国民年金は被保険者が死亡後14日以内、厚生年金は死亡後10日以内に提出する必要があるので注意しましょう。

2-2.受給権者死亡届(報告書)以外に必要なもの

年金の受給を停止する場合、受給権者死亡届(報告書)以外に以下のようなものが必要です。

  • 死亡者の年金証書
  • 死亡の事実を明らかにできる書類
  • 戸籍抄本・市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーもしくは死亡届の記載事項証明書

2-3.手続きが遅れると過払いが発生することがある

年金の受給停止手続きが遅れると、年金の過払いが発生することがあります。多く受け取った年金は返却する必要があるので注意してください。また、被保険者が死亡しているのにもかかわらず手続きを故意に遅らせた場合は、不正受給になるので気を付けましょう。不正受給と判断された場合は、刑法246条に基づき、不正受給分の年金を返金する以外にも懲役や罰金が科せられることがあります。

3.未支給年金を請求する方法

未支給年金の請求方法を詳しく解説します。

3-1.未支給年金とは?

未支給年金とは、死亡者が本来受け取るはずだった年金のことです。年金は、被保険者が死亡した月まで支給されます。具体的な例は、以下を参考にしてください。

被保険者が奇数月に死亡した場合(被保険者が7月4日に死亡)

  • 6月15日支給分(4月・5月の2か月分)が本人が受け取った最後の年金
  • 6月と7月の2か月分が未支給

被保険者が偶数月に死亡した場合(被保険者が8月20日に死亡)

  • 8月15日支給分(6月・7月の2か月分)が本人が受け取った最後の年金
  • 8月の1か月分が未支給

年金の支給は、年6回2か月ごとに行われます。したがって、奇数月に死亡した場合は2か月分、偶数月に死亡した場合は1か月分の未支給年金が発生するのです。

3-2.未支給年金を請求するときに必要な書類

未支給年金を請求するときには、以下のような書類が必要になります。

  • 死亡者の年金証書
  • 戸籍謄本など死亡者と請求者の続柄が確認できる書類
  • 死亡者の住民票(除票)および請求者の住民票など
  • 金融機関の通帳(未支給年金の振込先)

なお、死亡者と請求者が別世帯の場合は、「生計同一についての別紙の様式」の提出も必要です。

3-3.年金事務所もしくは手続き窓口で請求する

未支給年金の請求は、管轄の年金事務所もしくは街角の年金相談センターで手続きすることができます。年金事務所や年金相談センターの所在地・連絡先は、日本年金機能の全国の相談・手続き窓口ページを参考にしてください。

4.遺族年金を請求する方法

遺族年金を請求する方法について詳しく見ていきましょう。

4-1.遺族年金とは?

遺族年金とは、国民年金または厚生年金の被保険者が死亡した場合に、被保険者と生計と共にしていた人が安定した生活を維持するために受給できるものです。遺族年金には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 遺族基礎年金:死亡者が国民年金に加入していた場合に受けられる
  • 遺族厚生年金:死亡者が厚生年金保険に加入していた場合に受けられる

4-2.遺族基礎年金の支給内容

遺族基礎年金の支給内容を詳しく解説します。

4-2-1.支給条件

遺族基礎年金は、以下の2つの条件を満たした場合に支給されます。

  • 死亡時に被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上
  • 保険料納付済み期間(免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上

4-2-2.支給を受けられる人

遺族基礎年金の支給を受ける人は、以下の条件を満たしていることが必要です。

  • 死亡者によって生計を維持されていた
  • 子どものある配偶者もしくは子ども

なお、上記の場合の子どもは、以下の条件に当てはまる必要があります。

  • 18歳なった年の年度末(3月31日)を過ぎていない
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級を受けている

4-2-3.年金額

令和2年4月以降、遺族基礎年金の年金額は以下のとおりとなっています。

  • 781,700円+子どもの人数に応じた加算

子どもの加算は、第1子・第2子が各年額224,900円、第3子以降が各年額75,000円となります。たとえば、配偶者が受け取る場合で子どもが3人いるケースでは、年額1,306,500円です。

4-3.遺族厚生年金の支給内容

遺族厚生年金の支給内容を詳しく解説します。

4-3-1.支給条件

遺族厚生年金の受給条件は、以下のとおりです。

  • 被保険者が死亡したとき
  • 被保険者期間中のケガや病気により初診日から5年以内に死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき
  • 1級もしくは2級の障害厚生年金を受けている者が死亡したとき

4-3-2.支給を受けられる人

遺族厚生年金を受けられる人の条件は、以下のとおりです。

  • 死亡した者によって生計を維持されていた妻・子ども・孫
  • 55歳以上の夫・父母・祖父母
  • 子どもを持たない30歳未満の妻(5年間の有期給付)

4-3-3.年金額

遺族厚生年金の年金額は、死亡者の平均報酬月額や被保険者期間の月数によって、大きく異なります。また、死亡者の妻が受給する場合は、寡婦(かふ)年金が加算されることもあるので調べてみるとよいでしょう。また、子どもを持つ配偶者・子どもは、遺族基礎年金も併せて受けられることもあります。より詳しい内容は、日本年金機構の遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)案内ページを参考にしてください。

5.年金の手続きについて相談するには?

年金の手続きについて相談できる場所や方法を詳しくご紹介します。

5-1.年金事務所やねんきんダイヤルで相談できる

年金の手続きについて相談したいときは、以下を利用できます。

なお、年金の手続きに関する相談は、全国どこでも受け付けてもらえます。

5-2.年金相談を予約すると便利

年金事務所や街角の年金相談センターで相談する場合は、予約受付専用電話から予約しておくと便利です。予約しておくことで、待ち時間がなくなりスムーズに相談できます。予約する際には、年金手帳や年金証書など、年金番号が分かるものを手元に用意しておきましょう。なお、予約相談については、日本年金機構の予約相談に関するページも参考にしてください。

5-3.事前に相談内容をまとめておくこと

全国の相談窓口・ねんきんダイヤルのいずれも、事前に相談内容をまとめておくことが大切です。連日、多くの人が年金の手続きについて相談しています。効率よく質問し、的確なアドバイスを受けるために、どんなことを聞きたいのか紙に書き出しておくとよいでしょう。また、相談する際には年金手帳や年金証書も用意してください。年金番号があると、より具体的なアドバイスを受けることができます。

6.死亡後の年金に関するよくある質問

最後に、死亡後の年金に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。

Q.死亡後の年金も相続対象になる?
A.相続の対象にはなりません。また、相続税もかからないので安心してください。

Q.未支給年金は所得税の対象になる?
A.未支給年金は一時所得とみなされるため、場合によっては所得税の対象になります。詳しくは、税務署に相談してみてください。

Q.未支給年金の請求に時効はある?
A.はい。未支給年金の請求権は、最終年金支払日の翌月初日から5年を経過したときに時効を迎えます。したがって、時効を迎える前に請求手続きを進めることが大切です。

Q.国民年金を受給する前に被保険者が死亡した場合は?
A.国民年金の第1号被保険者で死亡日の前日までに国民年金保険料を36か月以上納付している場合は、死亡一時金を受け取ることができます。受け取れる人の条件などより詳しい内容については、日本年金機構の死亡一時金を受けるときに関するページを参考にしてください。

Q.内縁の妻でも遺族年金を受け取れる?
A.内縁の妻でも、条件を満たせば遺族年金を受け取ることができます。ただし、支給条件を満たしているか審査があるので注意してください。なお、死亡者に戸籍上の妻がいる場合は、死亡者と戸籍上の妻との婚姻関係が破たんしていることがポイントになります。

まとめ

今回は、死亡後の年金について詳しく解説しました。国民年金や厚生年金の被保険者が死亡した場合、条件によっては遺族が年金や一時金を受け取ることができる場合があります。まずは、死亡者の年金手帳や年金証書などを用意して、必要な手続きを進めましょう。分からないことがある場合は、年金事務所などに相談してみることがおすすめです。死亡後の年金は、遺族の生活を守るために大きな役割を持ちます。請求権があるものは、きちんと請求して受け取っておきましょう。