知っているのと知らないでは大違い! 敷金返還のポイントと注意点

引越しのときによく生じる敷金の返還をめぐるトラブル。引越しを考えているあなた、敷金がどれだけ返還されるか心配ではありませんか?交渉の仕方に よっては、返還される金額も変わってきます。知っているのと知らないのでは大違い。敷金返還のポイントや注意点をまとめました。

1.敷金とは

敷金とは、賃貸借契約時に支払う担保金のことです。家賃を滞納した場合や、部屋を汚したり傷つけたりした場合に、敷金の中からあてられます。相場は家賃の1か月~3か月分。大きな金額です。やっぱりできるだけ多く戻ってきてほしいでしょう。
借り主は、退去時に原状回復義務を負います。でも、この義務は、入居時と同じ状態に戻すという意味ではありません。故意や過失などで傷をつけたり汚したりした場合に、元の状態に戻すという意味です。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常使用の範囲内での劣化・汚れの場合、修繕・清掃は基本的に貸し主が責任を負うとなっています。
要するに、故意や過失の傷や汚れでない限りは、借り主に責任はなく、敷金は全額返金されるべきなのです。このことをまず、しっかりと押さえてください。重要なポイントです。

2.原状回復の境界

どこまでが借り主に修繕・清掃の責任があり、どこからは貸し主の責任範囲になるのでしょうか。具体例で見てみましょう。賃貸契約書に特約がない限りは、貸し主と借り主が費用を分担するのが基本です。

2-1.壁や天井の傷・汚れ

貸し主の負担

  • 日があたって自然に変色した壁
  • テレビや冷蔵庫の裏にある壁の変色、
  • エアコンの設置に伴う壁の穴

借り主の負担

  • 壁にくぎ打ちをした傷
  • タバコのヤニが原因の壁や天井の汚れ
  • エアコンの水漏れによる壁の腐食

2-2.床の傷や汚れ

貸し主の負担

  • 生活必需品を置いていた畳のへこみ
  • フローリングのワックスがけ
  • 畳の変色

借り主の負担

  • イスでつけたフローリングの傷やへこみ
  • 液体をこぼした跡のシミやカビ
  • 引越しの際につけた傷

2-3.設備・その他

<貸し主の負担>

  • 網戸の張り替え(破損等はしていない)
  • 通常の鍵の交換
  • 台所やトイレなどの水回りの消毒

借り主の負担

  • ペットが壁や柱につけた傷 ・汚れ
  • 鍵を紛失した場合の鍵の交換
  • 台所や風呂、トイレなどの水あか、カビの清掃

2-4.ハウスクリーニング

ハウスクリーニングやエアコンの清掃は、原則として貸し主の責任範囲です。借り主が敷金から費用を負担する必要はありません。ただし、契約書に記載 されている場合があるので、できたら契約時に確認することが大切です。たとえ契約書にあったとしても、あまりに相場とかけ離れた費用である場合などは、必 ずしも支払う必要はなく、無効となる可能性もあります。敷金は、あくまでも担保金なのです。
退去の際にやっておくべきことは、

  1. 常識的な範囲での掃除
  2. 自分でつけた設備などの撤去
  3. 不用品・ゴミの処分

などです。特に2と3は重要になります。
不用品のについては、処分に困ったら回収業者に依頼するといいいでしょう。電話1本で即日対応できるような業者だと助かります。

3.敷金返還交渉の注意点

通常使用の範囲内であれば、あるいは、故意か過失の傷や汚れでなければ、敷金は全額返還されるべきだとお話しました。でも、範囲内かどうかをめぐっ て貸し主と借り主の意見が対立し、トラブルになっているのが現状です。敷金がまったく返還されないどころか、追加で請求されたといったケースも。納得がい かないときは、きちんと借り主の主張を伝えることが大切です。
通常使用の範囲なのに、修繕費や清掃費を敷金から差し引かれたときには、泣き寝入りしてはいけません。借り主が何もいわないと、貸し主は自分に都合のいい金額を出してくるので、注意が必要です。

4.敷金トラブルの対処法

よくあるトラブルの例として、クロスの張り替え、設備の更新や修繕、ハウスクリーニングなどがあります。相場より明らかに高い費用や本来なら不要の修繕、一方的に借り主だけが負担する場合などです。
たとえば、クロス張り替えの費用を請求されたときは、全額負担なのか貸し主の負担もあるのか確認してください。借り主と貸し主の負担割合などは、入居年数 によって決まっています。すべてを借り主負担というのは、問題があると考えた方がいいでしょう。内訳書の明示なども求め、内容をチェックしましょう。

4-1.主張の内容を具体的に伝える

「国土交通省のガイドラインによると、この部分の修繕は、貸し主負担になっている。したがって、この費用は返還してほしい」
敷金の返還額に納得できない場合は、できるだけ具体的に伝えると効果的です。国土交通省のガイドラインは、あくまでも目安であって強制力はありません。しかし、交渉の手引きとして、とても役立つはずです。公開されているので、ダウンロードしておきましょう。

4-2.交渉が長引いたら

話し合いが進まない場合は、内容証明郵便を送る方法もあります。郵便局が内容を証明してくれるという文書に過ぎませんが、心理的な効果がある方法です。裁判などに備えた準備にもなります。
また、自治体によっては、敷金トラブルなどの相談に乗ってくれる窓口があるので、訪ねてみるのもいいでしょう。あるいは、敷金診断士や敷金鑑定士という専門家もいます。敷金トラブルの解決してくれる存在として、全国的に利用者が増えているようです。

4-3.最後の手段は裁判

国土交通省のガイドラインを論拠にした際に、貸し主は入居時の契約書に書いていることを論拠にすることがあります。ガイドラインより契約書が優先されるという理屈です。確かにそのとおりですが、契約書は貸し主に都合よく書かれていることがよくあります。
あまりにも借り主に一方的な契約だと、どうしても納得できない場合もあるでしょう。そんなときには、最後の手段として裁判に訴えるのも1つの方法です。一方的な契約内容だと、裁判で借り主の主張が認められる可能性は十分あります。

5.まとめ

引越しを予定している方のために、敷金返還のポイントや注意点をまとめました。
特に重要なポイントは、

  • 故意や過失の傷や汚れでない限りは、敷金は全額返金されるべきもの

だという点です。
また、

  • 借り主が意思を示さないと、貸し主は自分に都合のいい金額を出してくる

ので、注意が必要です。きちんとした交渉をしなければ、敷金はなかなか全額戻ってきません。
新居を決める際には、契約書に書いてある内容をしっかり確認するようにしましょう。でないと、将来、敷金トラブルが起きてしまいます。また、入居時には しっかりお部屋の状況を確認するのも大切です。傷や汚れの状態を貸し主と一緒に確かめておけば、未然にトラブルを防止できます。