本を上手に保存する方法とは?どんなところに気をつけるべき?

読書好きの方にとって、本の劣化は頭の痛い問題です。
特に、絶版になってしまった本は劣化したからといって買い直すわけにもいきません。
そこで、今回はより劣化しにくい本の保存方法をご紹介しましょう。
本は安価なものが多いですから、つい保存方法もおざなりになりがちなことも多いです。
しかし、劣化を防ぐためには保管場所の衛生状態などにも気を配る必要があるでしょう。
さらに、本の形をとどめずに内容だけを保存する方法などもご紹介します。
興味がある方はぜひこの記事を読んでみてください。

1.本を劣化させるものとは?

まず始めに、本を劣化させるものをご紹介します。
私たちの周りにたくさんあるものが、本の劣化の原因になっていることも珍しくありません。

1-1.紫外線

紫外線というと日光をイメージする方が多いですが、蛍光灯にも紫外線が含まれているのです。
紫外線は石油製品や紙類を劣化させます。
本は紙でできていますが、カバーや留め具などはビニールが使われているものも多いでしょう。
ですから、日当たりのよい部屋や蛍光灯が長時間ついている部屋に置かれた本は劣化が早いです。

1-2.湿気

湿気は、本にとって大敵です。
湿気が多い部屋に置かれた本はカビがはえやすくなったり、紙がそってしまったりするでしょう。
特に、押し入れにダンボールに入れたまま保管してある本には要注意です。
押し入れは、断熱材が入っていないことが多く湿気がたまりやすい場所になります。
また、ダンボールで保管されている本は、広げられることもめったにありません。
その結果、湿気がよりたまりやすくなってしまうのです。
また、季節によっても部屋の湿度は変わります。
梅雨時など湿度が高くなりやすいときは、対策が必要な部屋もあるでしょう。

1-3.虫

本に使われているのりを食べる虫がいます。
紙魚(シミ)という虫で、古い本ほど発生する可能性が高いです。
紙ごと食べられてしまうので、最悪の場合字が読めなくなることもあります。
さらに、食べ物を食べながら本を読むと、どうしても食べかすなどが挟まるのです。
それを狙ってゴキブリなどが発生することもあるでしょう。
ゴキブリは何でも食べてしまうので、紙もかじられます。

1-4.酸化

1970年代まで、文庫本には「酸性紙」という紙が使われています。
古い文庫本を触ると、つるつるした指触りの紙が使われているのが分かるでしょう。
これが、酸性紙です。
酸性紙は20年~30年経過するとボロボロになってしまいます。
ですから、ちょうど今は最後に酸性紙で出版された本の劣化が始まる時期なのです。
これは、どんなに気をつけていても劣化は止められません。
ですから、貴重な内容の本の場合は内容だけでも残しておくことが大切です。

2.本の上手な保存方法とは?

では、本を上手に保存するにはどんなことに気をつければよいのでしょうか?
この項で、その一例をご紹介します。

2-1.直射日光を避けて、本棚で保存する

本は、直射日光を避けて本棚で保存しましょう。
平積みにしていると、本自体の重さで劣化が早まります。
本棚の置き場所は直射日光の当たらないところが一番です。
どうしても日光が当たってしまうという場合は、その時間だけカーテンを引いたり窓に紫外線防止フィルムなどを張ったりしましょう。
また、本棚にぎっちりと隙間なく本を詰めこんでおいても、劣化が早まります。
本棚の理想の収納量は図書館の本棚です。隙間なく収納されていますが、背表紙を引けばスッと本が出てきます。
この状態を目標に本棚に本を収納しましょう。

2-2.高温多湿を避ける

紙は高温多湿の環境を嫌います。ですから、16度~22度の室温で40%~60%の湿度を保って保管しましょう。
温度計や湿度計は安価で手に入ります。極端に高温になったり多湿になったりする場合は、除湿器やエアコンなどを使ってください。
なお、前述したように物置や押し入れは断熱材が使われていません。
つまり、部屋の中よりもより高温多湿になりやすいのです。
ですから、押し入れや物置にダンボールに入れて本を保存するようなことは、できるだけ避けましょう。

2-3.カバーをつけて専用の収納ケースに入れて保管する

本を買ったときにカバーをつけてくれる書店は多いです。
しかし、大部分が紙製ですのでやはり時間とともに劣化していくでしょう。
長期間状態よく保存したい場合は、ビニール製のカバーを使ってください。
また、漫画は冊数が多くなりどうしても本棚に並べきれなくなることも多いです。
その場合は、専用の収納ケースや箱に入れて保管しましょう。
ホームセンターや100円ショップなどでも販売されています。
ダンボールに詰めこんで保管するよりも、劣化を防げるでしょう。
なお、どうしても置き場所がなくて押し入れなどに保管する場合は、乾燥剤を入れておいてください。
食品についているものを再利用しても構いません。

2-4.飲食しながら本を読まない

飲食しながら本を読むと、どうしても食べかすが本に挟まります。
また、飲み物のしずくが本に落ちれば、劣化も早まるでしょう。
ですから、大切な本ほど読むときは集中してください。
なお、本棚に防虫剤を入れておくと、虫害を防げます。

3.電子化して取っておくという選択もある

酸性紙を使った本は、素人では劣化を止められません。
また、すでにボロボロになって何度も補修をしている本は、長持ちしにくいでしょう。
そのような本は、電子化して取っておくという選択があります。
本の形は失われてしまいますが、内容はデータとして残るでしょう。
また、何千冊もの本がSDカード1枚に収まってしまうので、本の収納場所に困っている方にもお勧めです。
本の電子書籍化は、難しくはありません。
本をバラバラにして1ページずつスキャンしていくだけです。
スキャナーなどがないという場合は、本を電子化するセットをレンタルできる業者もあります。
また、本を電子化できるスペースを貸してくれる業者もいるのです。
本の電子化についてはいまだに賛否が分かれています。
しかし、本の内容だけは失いたくないという人にとっては、とても有効な方法でしょう。
薄い本ならばカッターナイフがあれば解体できますし、厚い本は裁断機を使ってください。
慣れれば、1時間ほどで文庫本1冊は電子化できるようになります。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は、本を上手に保存する方法をご紹介しました。
読書家の人にとって、本は大切な財産。
なんとしても長く保存したいと思うでしょう。
そのためにはまず、本を丁寧に扱ってください。
床の上に置いたり本の上に別のものを置いたりするとあっという間に劣化してしまいます。
また、人によっては雑誌を取っておきたいという方もいるでしょう。
雑誌は通常の本よりも装丁が簡単で紙質もよくありません。
そのため、丸ごと取っておくよりは、欲しい部分だけ切り取ってスクラップにしたり電子化したりした方がよいでしょう。
なお、本を買うと紙製のしおりが挟まっていることも多いですが、これもとじっぱなしにしておくと本の劣化が早まります。
ですから、チラシやしおりは買ってきたら取りのぞき、必要ならば別の場所で保管してください。
そうすれば、本はより長持ちするでしょう。
なお、電子化した本をインターネット上にアップすると著作権の侵害になりますので、流出などしないように注意してください。