アナタの家は大丈夫? 家の耐震チェック方法とは?

マグニチュード9.0という空前の大地震である東日本大震災から、早くも4年がたちました。いまだに多くの人の脳裏に衝撃として残っていることでしょう。

あれ以上の大震災はもう起きないだろう……そんな風に楽観する人もいるはず。しかし、東日本大震災に勝るとも劣らない規模の大地震は「いつ発生してもおかしくない」と多くの地震学者たちが警鐘を鳴らしています。たとえば、『東京直下型地震』や『南海トラフ巨大地震』などが挙げられるでしょう。私たちは楽観せず、後に備える必要があるのです。

そこで、今回は家の耐震チェック方法について中心にご紹介していきたいと思います。

1.わが家の耐震強度チェック方法!

1-1.2000年(平成12年)の6月1日以降に建てられているかどうか

余り知られていませんが、耐震基準は数年ごとに改正されています。これは大きな地震が起きた後に耐震基準が見直されるためです。となれば。基本的には家は新しければ新しいほど耐震基準に優れた家であることが分かります。

しかし、そうなるとこれから中古物件を買う方。あるいは、すでにある程度の築年数のたっているご家庭では、安心できませんよね。何回も改正されている耐震基準ですが、一体どの耐震基準を最低ラインにすれば地震に対して安心できるのでしょうか?

答えは、2000年(平成12年)の6月1日に改正された耐震基準です。2000年の改正は1995年に起きた兵庫県南部地震……通称『阪神・淡路大震災』を受けたものでした。阪神・淡路大震災ではこれまでにないほどの大きな被害となったため、多くの部分が改良されています。

たとえば、住宅の性能規定の概念を導入したり、構造計算法に限界耐力計算法などを取り入れたりするようになりました。このようなことから、2000年に改正された耐震基準は『新耐震基準法』と呼ばれるようになっています。

つまり、新耐震基準法の下に建てられた家かどうかが『安心ライン』ということですね。

では、旧耐震基準法の下で建てられた家はすべてダメなのかというと、そういうわけでもありません。2000年以降の建物はあくまで『安心ライン』であり、『最低ライン』となる耐震基準の年もあります。

それが、1981年6月1日です。この年にも宮城県沖地震による被害から教訓を受け、大規模な耐震基準の改正がありました。この改正は2000年の改正に匹敵するレベルのものです。

つまり、自身に対して一定の安心を得るには、最低でも1981年以降に建てられていることが重要となります。もしも、住んでいる家が1981年以前に建てられているという方は、できる限り耐震補強をした方が良いでしょう。

1-2.過去に災害に遭っているかどうか

過去に災害に遭っているかどうかも耐震チェックで重要なポイント。仮に当時は災害に耐えられたとしても、そのときのダメージは残ったままです。次の災害には耐えられないかも知れませんよね。

災害には地震はもちろんのこと、洪水も含まれます。いまだ記憶に新しい鬼怒川の堤防決壊。もはや津波というべき暴威をふるい、多くの家屋が倒壊して流しました。しかし、鉄筋構造の家など、中には耐えた家もありますよね。ですが、だからといって次の災害に耐えきれるわけではないのです。楽観せず、専門家の指導の下で補修工事などを依頼するようにしましょう。

1-3.増築があるかどうか

過去に増築したかどうかも家の耐震能力をチェックする重要点。通常、家というのは完成されたものです。ですから、後付けのものがくっつくと構造に弱い箇所が生まれる可能性があります。

たとえば、本来は1階しかない部分に2階を付け足したとしたら、初期設計以上の荷重が1階部分にかかるでしょう。当然、荷重に耐えるために1階部分に補強はするはずですが、悪徳な業者の場合はしないこともあります。そして、実際に補強されているのかされていないのかは、素人が知るすべはありません。

最悪の場合ですと、地震で1階部分がつぶれてしまうこともあるでしょう。就寝中の地震で1階が押しつぶされて圧死なんて考えるだけでも恐ろしいですよね。増築をした家はしっかりとした専門家に構造として問題がないか調べてもらうべきでしょう。

1-4.劣化箇所があるかどうか(補修したことがあるかどうか)

外壁に大きな亀裂が入っている。あるいは入っていた亀裂を補強した。基礎部分に亀裂が入っている。あるいは入っていた亀裂を補強した。

そんな家は耐震強度に問題があるかも知れません。特に基礎はその名のとおり家を支える要の部分です。しっかりと確認しておきましょう。

1-5.家の形状が単純な形状をしているかどうか

最近増えているようですが、構造が複雑でオシャレな家がありますよね。しかし、家というのは単純な長方形が1番強度としては優れているのです。ですから家が複雑な構造をしているという方は少し注意した方が良いでしょう。

建てた年数が新しい場合は耐震基準をしっかりと考えられていることが多いのでそれほどの心配は要りません。しかし、古い場合は耐震強度など考えずにデザインだけで建ててしまっている可能性もあります。

家が2000年以前に建てられているという場合には注意してみてください。特に、1981年以前のものなら要注意です。

1-6.1辺が4メーター以上の吹き抜けがあるかどうか

最近、デザインや採光性の観点から吹き抜けを取り入れる家が珍しくありません。吹き抜けが広すぎると、場合によっては耐震性に問題が生じる場合があります。特に、2000年以前に建てられた家の場合は注意が必要です。

1-7.壁面のある場所が1階と2階で一致しているかどうか

どういうことかというと、1階の壁がある位置と2階の壁のある位置が同じ箇所にあるかということです。2階の壁面の真下に1階の壁面がないと、地震の際の力が床を通じて1階に流れます。こうなると大地震の際に床から家が倒壊する可能性があるのです。

1-8.部屋に4面すべての壁があるか

通常、部屋には4面どの箇所にも壁があります。しかし、部屋の形状によっては1面がガラスだけという場合もあるでしょう。このような形状の部屋は地震に弱くなります。なぜかというと、壁が地震の揺れを逃がしてくれるからです。同じ家の中でも、4面すべてに壁がある部屋とそうでない部屋では揺れに違いが出るでしょう。

つまり、壁が3面しかない部屋が多い家は地震に弱いということです。自分の家を確認してみてください。

1-9.1階の壁数がどれぐらいあるか

家を含め、箱状のものは中の密度で強さが変わってきます。たとえば、ただの段ボール箱をつぶすのは簡単ですが、ワインを運搬するために使用する段ボールは簡単につぶすことができません。これは、ワイン用の段ボールは仕切りが多く差し込まれて密度が増しているためです。

家も同じことで、ワイン用段ボールでいうところの仕切り……つまり壁が多ければ多いほど頑丈になります。特に、1階部分は2階部分を支えるために大きな荷重がかかっていますからなおさらです。

1-10.基礎がどのタイプか

基礎にもいくつか種類があります。そして、それぞれの基礎には得意な地盤の状態というものがあるのです。

一般的な基礎のタイプは布基礎ですが、どんな土地でも布基礎にしておけばいいというわけではありません。軟弱な地盤の場合はベタ基礎や深基礎などの方法をとる必要性が出てくるでしょう。地盤の状況を考えずに基礎工事を行っている適当な業者だと、耐震性に問題が出てくることがあります。

とはいえ、基礎のタイプは普通の人が見ても判別はつきません。専門家に依頼して地質の調査と共に確認してみましょう。

2.耐震・制震・免震それぞれメリット・デメリット

2-1.耐震のメリット・デメリット

『耐震』とは、壁の強度を上げることによって地震の力に耐える構造のことをいいます。建物自体は頑丈になるため、倒壊のリスクを大きく下げることができるという点が最大のメリットです。また、比較的ほかの方法に比べて安価に補強することができるというのも見逃してはいけないメリットでしょう。

デメリットとしては、地震の揺れを抑える作用がないことです。むしろ、揺れが建物全体によく伝わるようになるため、高い階層になるにつれて揺れが大きくなってしまいます。また、耐震では地震が起こるたびに家へのダメージが蓄積されてしまうこともデメリットです。1度目の大震災は防げますが、次も耐えられるとは限りません。

2-2.制震のメリット・デメリット

『制震』とは、制震装置と呼ばれる地震の揺れを軽減する装置を建物の壁などに組み込む構造のことです。

地震は建物に高さがあればあるほど、上層階の揺れが大きくなります。ですから、タワーマンションなどには特に効果的でしょう。

デメリットは特にありません。非常に優れた耐震補強でしょう。

2-3.免震のメリット・デメリット

『免震』とは、基礎と建物の間に免震装置と呼ばれるものを設置する構造のこと。免震装置は建物と基礎を切り離していますので、地震の揺れをほとんど伝えません。

免震の優れた点は地震の揺れをほとんど吸収してしまうその能力です。耐震や制震と比べると、建物にかかる瞬間的な力を『10分の1程度』まで抑えられるというデータもあります。建物の中の安全性を求めるだけなら、最も優れているでしょう。

ただし、最大のデメリットとして設置に費用がかかるという点が挙げられます。耐震や制震では50~100万円程度で行えるのに対し、免震の場合350万円~550万円程度かかるのです。手軽に家の補強をしたい、という家庭には向いていないでしょう。

また、地盤が軟弱な場合は設置することができません。軟弱な地盤の代表といえば埋め立て地です。日本は土地が少ないため、湖や池を埋め立てたり、海を埋め立てたりして土地を増やしてきました。そのような土地に家が建っている場合は、採用できない可能性があるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

今回は家の耐震チェック方法を中心にご紹介しました。

  1. わが家の耐震チェック方法
  2. 耐震・制震・免震それぞれメリット・デメリット

いまだ記憶にも新しい東日本大震災。あの規模の地震はいつどこで起きてもおかしくないといわれています。たとえば、数年前から常に危険視されている東京直下型地震や、南海トラフ巨大地震などが挙げられるでしょう。今回の記事を機に楽観するのはやめ、家の耐震リフォームを行ってみてはいかがですか?