住宅構造の種類とは? 代表的なものを比較してみました。

新しく一戸建てを建てたい、という方の中には「住宅構造の種類がたくさんありすぎて、迷っている」という人も多いでしょう。現在の日本では、家を建てるのに5種類以上の構造が選べます。
そこで、今回は住宅構造の種類を比較してみましょう。
最近は大きな地震も多いため、「できるだけ耐震性が高い家を造りたい」と考えている方も多いと思います。
では、住宅構造の中ではどれが最も耐震性が高いのでしょうか?
これから家を購入したいという方や家を建てたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。

1.住宅構造の違いはどこに出る?

まず始めに住宅構造の違いが、家のどのようなところに出るかをご説明しましょう。
家の構造を選ぶときの参考にしてください。

1-1.耐震性

家の構造が違えば、耐震性にも差が出てきます。
現在の住宅基準法では、震度6の地震に1度耐える設計にするように決められているのです。
しかし、構造によっては2度~3度の強い余震にも耐えられるでしょう。
でも、耐震性は家の構造以外でも、補強工事で強化できます。
ですから、耐震性が低いからこの構造はよくない、というわけでもありません。

1-2.デザイン性

家の構造によっては、自由にデザインができるものもあれば、決まりきったデザインしかできない構造もあるのです。
ですから、「このようなデザインの家を建てたい」という強い希望がある場合は、住宅構造から考える必要があります。
また、住宅構造によって増築ができやすいものとできにくいものがあるのです。
将来、大規模なリフォームの予定があるという場合は増築しやすい住宅構造を選んだ方がよいでしょう。

1-3.価格

住宅構造は、種類によって価格が大きく違います。
ですから、同じ価格帯の土地に同じ広さの家を建てても、工法が違えば価格は変わってくるのです。
また、土地の状態が悪い場合は住宅構造が限られているところもあるでしょう。
ですから、「この住宅構造で家を建てたい」という希望がある場合は、その構造で建てた場合の坪単価(つぼたんか)を計算してみてください。

1-4.重さ

意外に忘れられがちなのが、重さです。
住宅構造によって、同じようなデザインでも重い住宅と軽い住宅があります。
軽いとっても住宅の重さですから1トン以上はあるでしょう。
ですから、重い住宅の場合はかなりの重量があります。
地盤が弱い場所に、重い構造の住宅を建てたい場合は、基礎工事を入念にしなければなりません。
ですから、より建築費がかかる場合もあるのです。
住宅構造に迷っている方は、地盤調査の結果も参考にしましょう。

2.住宅構造の種類とは?

では、住宅構造にはどのような種類があるのでしょうか?
この項では、それぞれのメリット・デメリットとともにご説明していきます。

2-1.在来工法(木造軸組工法)

現在建てられている住宅の約8割が、この方法で作られています。
「木造住宅」という場合は、この構造の住宅を指すのです。
柱と梁(はり)で屋根を支える工法で、窓を大きくとることも室内に壁を少なくすることも可能。
伝統的な日本家屋も、この構造で作られています。
阪神大震災のときにこの工法で建てられた家屋が多く倒壊したことから、一時期は耐震性が弱いのではないかと思われていました。
しかし、現在の建築基準法に沿って建てられた家ならば、耐震強度が著しく低いというわけではありません。
今の在来工法は、大工の腕によって極端にできあがりが違うことなどありませんが、腕のよい大工が立てた家は長持ちしやすいでしょう。
また、増築が容易というメリットもあります。

2-2.2×4(ツーバイフォー)工法

一時期盛んにテレビでCMされていた工法です。
欧米では住宅の9割がこの工法で建てられています。
2×4工法は、壁で屋根を支えるため耐震性と耐火性に優れているのです。
また、工場で材料を大量生産できるため、建築費が安いのも大きなメリット。
ただし、壁で屋根を支えているので、壁を壊して増築するといった大規模なリフォームはやりにくいでしょう。

2-3.プレハブ工法(軽量鉄骨造)

一般住宅だけでなく、低層アパートなどにも用いられる工法です。
柱や梁(はり)などが厚さ6mm以下の鋼材で作られています。
ですから耐震性が高く、阪神淡路大震災でもこの構造で作られた住宅は、被害がほとんどありませんでした。
また、工場で材料を大量生産するので、建築費が安いのも魅力でしょう。
デメリットは、設計の自由がほとんどないこと。
材料が大量生産されているので、デザインも限られてしまうのです。
また、鋼材は熱伝導率が高いので断熱性も低いでしょう。
ですから、夏の暑さや冬の寒さが厳しい土地では冷暖房費が余計にかかるかもしれません。
また、大規模なリフォームも難しいでしょう。

2-4.重量鉄骨造

軽量鉄骨構造の住宅とほぼ同じですが、こちらは柱や梁(はり)の厚さが6mm以上ある住宅です。
高層ビルもこの工法で建てられています。
ですから、寿命が長くメンテナンスさえしっかりしていれば、子どもや孫の代まで住み続けられるでしょう。
また、間取りの自由度も高く、個性的な住宅を造りたい方にもお勧めです。
デメリットも軽量鉄骨構造とほぼ同じ。
断熱性が弱いので、重量鉄骨造の一般住宅は北海道ではほとんど見られません。
さらに、海辺の近くに建てた場合はさびが浮いてくる場合もあります。
また、建築コストもこれまでに紹介してきた工法に比べると高いでしょう。

2-5.鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋とコンクリートの特徴を生かした、強さと柔軟性を併せ持つ住宅です。
一度型枠さえ作ってしまえば、どんな形でも作ることができるでしょう。
ですから、非常にデザイン性の高い住宅が作れます。
一昔前に「オシャレな住宅」として人気を集めたコンクリート打ちっぱなしの住宅や、デザイナーズ住宅もこの工法で作られていることが多いでしょう。
また、耐震性も高く大きな地震が来ても崩れにくいです。
さらに、外断熱を利用すれば、適温になった空気が部屋から出ていきにくいため、外気温が大きく変化しても室温は一定にたもてます。
ですから、どんな土地でも快適に過ごせるでしょう。
デメリットは、建築費が高いこと。
住宅の工法としては最も高いもののひとつです。
ですから、予算に余裕がある人向けでしょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は住宅構造の種類と特徴についてご紹介しました。
まとめると

  • 住宅の構造にはいくつもの種類がある。
  • それぞれメリット・デメリットがあるためよく特徴を知ってから選択するとよい。
  • 予算や建てる土地の強度も考えて構造を決めよう。

ということです。
日本は地震大国であり、ここ20年の間に2度の大地震にみまわれています。
ですから、耐震性の高い家を建てたいという方も多いでしょう。
しかし、耐震性ばかり目を向けていると、別のデメリットを見逃しがちです。
特に、夏や冬に冷房や暖房なしではいられないところに家を建てるなら、断熱効果も考えましょう。
また、家を建てるときに耐震補強工事も同時に行うと、地震にやや弱い在来工法でも耐震強度を高めることができます。
工務店とよく相談して、どのような工事にするか決めましょう。
素人が「この工法が一番に決まっている」と思いこんでしまうと、思わぬ失敗をすることが多いです。
プロの意見にも耳を傾けてください。