換気の必要性は? 具体的な換気の方法や換気効率を上げるコツ

冬になると窓を閉めたままにすることが多く、換気が疎(おろそ)かになりがちです。せっかく暖めた空気を外に逃がしたくない気持ちは分かりますが、こまめに換気しなければなりません。「なぜ換気が必要なのか?」「どのくらいの頻度で換気すればいいのか」など、悩んでいる方が多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では、換気の役割が必要性などについて解説します。

  1. 換気の役割とは?
  2. 換気をしないとどうなるのか?
  3. 換気の方法とポイント
  4. 換気効率を上げるコツ
  5. 換気に関してよくある質問

この記事を読むことで、換気がなぜ必要なのか、また換気の方法も分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.換気の役割とは?

まずは、換気の役割をチェックしておきましょう。

1-1.呼吸に必要不可欠な空気を生み出す

換気の主な役割は、呼吸に必要不可欠な空気を生み出すことです。私たちが呼吸をするためには、新鮮な空気が必要になります。人が1日にする呼吸回数は2万5,000回と言われており、1人あたり1時間に6畳分の空気が必要です。つまり、適切な換気が行われていない部屋の空気はどんどん汚染が進み、呼吸に必要な空気を生み出すことができなくなってしまいます。また、従来の日本家屋は換気をしなくてもある程度、換気ができる造りでした。しかし、現代の住宅は新しい工法などによって機密性が高まり、窓を閉めきったままでは十分な換気ができなくなってしまったのです。だからこそ、呼吸に必要な空気を生み出すために換気が必要となります。

1-2.ハウスダストやウイルスなどの除去

換気は新鮮な空気を生み出すだけでなく、ハウスダストやウイルスなどを除去する役割も担っています。衣類の繊維クズやダニの死がい・フン、犬や猫などペットの毛、カビ、細菌などがハウスダストとなり、こまめに換気しなければ部屋中に漂ってしまうのです。さらに、ハウスダストだけでなく、冬場はインフルエンザと言ったウイルスが発生しやすくなります。すでに、インフルエンザにかかっている人がいた場合、くしゃみや咳(せき)から出たインフルエンザウイルスが空気中を2~3時間ほど舞うとも言われているため、換気が重要となるのです。

1-3.冬場に発生しやすい結露の防止

換気は、結露の防止という役割も担っています。結露は、外と室内の気温差が大きくなるほど発生するもので、放置しておくとカビの原因になり壁紙や建材を傷めるのです。結露によって発生したカビはダニのエサになるため、ダニの大量繁殖につながる恐れもあります。そんな結露を未然に防ぐことができるのが換気です。室内の湿気が含まれた空気と外の空気を入れ替えることで、結露を防ぎ、カビやダニの繁殖も未然に防ぐことができます。特に、冬場は結露が発生しやすくなるのでこまめな換気が大切です。

2.換気をしないとどうなるのか?

では、換気をしないとどうなるのでしょうか。

2-1.健康面への影響と生活環境の悪化

換気不足になると健康面への影響や生活環境の悪化につながります。キッチンで調理をするとき、換気扇をつけると思いますが、換気不足になると油煙が部屋全体に充満し変色やべたつきなど油分汚れの原因になるのです。さらに、飲食物の傷みを促進させてしまい、食中毒などが発生しやすくなるとも言われています。また、密封された空間は空気がこもりがちで、におい・湿気がたまりやすくなるのです。カビ菌や雑菌が好む環境になりやすく、衛生面が悪化しウイルス感染などの病気につながりやすくなります。

2-2.体に有害な汚染物質を追い出すことができない

前述したように、換気不足になるとカビ菌・雑菌・ウイルスなどが繁殖しやすい環境下になります。さまざまなものから放出された水分が湿気となり、室内にたまった結果、天井や壁・床などにカビが大量発生するのです。カビを吸い込むことでアレルギー症状を発症させる可能性もあります。特に、免疫力が低い高齢者や幼い子どもはアレルギー症状を引き起こしやすく、体調不良が長く続く恐れもあるのです。換気しなければ、体に有害な汚染物質をいつまでも室内に留まらせておくことになります。

2-3.家具や建材を傷めるリスクも

換気を行わないことによるリスクは、健康面や快適な生活の悪影響だけではありません。室内に置いてある家具や建物自体を傷めるリスクもあります。湿気がたまるほど天井・壁・床にカビが発生し、建材を傷める原因になるのです。木材でできている家具にとって、湿気やカビは大敵な存在となります。湿気だけでなく悪臭が染みついてしまうと、家電も傷んでしまう恐れがあるのです。建物自体の耐久性もどんどん低くなり、劣化を辿(たど)る一方なので換気は必要となります。

3.換気の方法とポイント

それでは、具体的な換気の方法とポイントを解説します。

3-1.2か所の窓を対角線上になるように開けて換気する

1か所の窓だけ開けて換気すればいいと思いがちですが、正しい換気は2か所の窓を開けるのがポイントです。さらに、対角線上になるように開けて換気することで空気の流れが生まれます。空気の流れを作ることが、正しい換気につながるのです。対角線上に窓がない場合は、高低差を生かした換気を行ってください。基本的に、空気は温度が高ければ上へのぼり、低ければ下に下がるという性質があります。低い位置の窓と高い位置の窓を同時に開けることで、暖かい空気は上の窓から排出され冷たい空気が下の窓から入るようになるのです。

3-2.窓を少し開けて出口は全開にする

正しい換気の方法として、空気の入り口となる窓を少し開けて出口を全開にする方法があります。窓を全開にすると多くの新鮮な空気を取り込めそうな気がしますが、空気が動くかと言ったらそうでもありません。特に、風が弱い日は窓を全開にしても空気を動かすことが難しく、まったく新鮮な空気を取り込めないケースもあります。そのため、空気の出口となる窓は全開にしてもいいですが、外気の入り口となる窓は約5~15cm開けるのが理想です。空気は小さなすき間のほうが勢いよく入り、出るときは広いすき間のほうが小さな力で出ていきやすくなります。

3-3.扇風機やサーキュレーターを活用する

なかなか空気を動かすことができないときは、扇風機やサーキュレーターを活用するといいでしょう。窓の開閉や換気扇を使用しても空気が動きにくい箇所が出てくるものです。たとえば、家具と家具の間や、部屋の隅などがあります。空気がよどんでしまう場所は、扇風機やサーキュレーターを活用することで空気の流れを生み出すことができるのです。また、家具の背中と壁をぴったりつけてしまうと空気の通り道ができなくなるため、家具の裏側と壁の間を5cm程度離すように設置してください。家具と壁を少し離すことで湿気がたまりにくくなります。

3-4.換気扇を使うときも窓や自然換気口を開ける

換気扇を使うとき、窓や自然換気口を開けているでしょうか。近年、IH調理器の普及が進んでいますが、上昇気流が起きにくいというデメリットがあります。そのため、水蒸気や油煙が室内にたまりやすく、汚れやカビが発生しやすくなるのです。調理時は換気扇を「強」に設定し、かつ窓や自然換気口を開けておくようにしましょう。基本的に、新鮮な空気と汚れた空気が入れ替わるまでは多少の時間が必要だと言われています。換気扇は調理後もしばらくつけたままにしてください。

4.換気効率を上げるコツ

より換気効率を上げるために、いくつかコツを紹介します。

4-1.換気の時間は5~10分が目安

換気時間の目安を把握することが換気効率のアップにつながります。換気時間は長ければ長いほどいいと思いがちですが、適切な換気方法を実践していれば1回の換気につき5~10分程度で問題ありません。空気の通り道をしっかり確保できた換気なら、5~10分でも十分な換気が可能です。逆に、間違った方法で行う換気を30分~1時間行ったとしても大きな効果を得ることはできません。室内の温度が急激に下がり、風邪を引くなど体調を崩す原因になってしまいます。大切なのは、風の通り道を確保した環境を整えて、室内の温度はできるだけ下げない換気を行うことです。

4-2.湿度が低い晴れた日に換気する

「換気にベストな時間帯はいつ?」と疑問に感じる方が多いと思いますが、換気に最適なタイミングは晴れた日の湿度が低い時間帯です。晴れの日は湿度が低い環境が整っているため、カラッとした新鮮な空気を取り込むことができます。結露の原因となる水蒸気やを外に排出することができるでしょう。また、冬の場合は外の気温が下がっているため、1日の中で湿度が低く比較的暖かい12~14時の間に換気を行うといいですよ。逆に、湿度が高い日に換気を行うと、水蒸気が多く含まれている空気を室内に取り込んでしまいます。結露発生の原因につながるため、空気が快適な晴れの日を心がけてください。

4-3.空気清浄機を活用するのも方法の1つ

空気の流れを作るために扇風機やサーキュレーターを使用する方法がありますが、空気清浄機を活用するのも換気効率を上げるコツです。空気清浄機は本体内のフィルターに空気を吸い込み、ろ過することで室内の有害物質を除去することができます。空気清浄機を活用すれば、新鮮な空気を生み出すと同時に、室内に漂っているダニやハウスダストを効率的に除去できるのです。窓を開ける換気とあわせて、ハウスダスト対策のために空気清浄機の使用も検討してみてはいかがでしょうか。また、雨の日でも空気清浄機があれば室内の汚染物質が除去できます。

5.換気に関してよくある質問

換気に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.場所によって換気の時間は異なるのか?
A.違います。たとえば、コンロなど使用するキッチンはこまめな換気が必要です。火気をしようする空間は多くの排気量が必要になるため、その分の空気を取り入れなければなりません。しかし、冬場にキッチンの換気扇を運転し続けると冷気の侵入によって暖房効率を著しく下げる恐れがあります。風量調整機能がついている換気扇ならこまめに風量切り換えを行いましょう。また、浴室・洗面所の換気は浴室を乾燥させることが目的なので、最低でも3時間は換気する必要があります。トイレは使用後10分程度、換気扇を運転させるといいでしょう。

Q.換気扇の簡単なお手入れ方法は?
A.換気効率を上げるためには、定期的に換気扇を掃除する必要があります。ここでは、一般換気扇の簡単なお手入れ方法を紹介しましょう。

  1. 必ずプラグをコンセントから抜き、部品を取りはずす
  2. 羽根カバー・羽根止めなどを洗剤で洗う
  3. 中性洗剤を浸した布で本体を拭く

ベンジン・アルコール・みがき粉などは使用しないでください。また、モーター・スイッチは水に弱いので絶対に水をかけないようにしましょう。

Q.換気の種類は?
A.大きく分けると自然換気と機械換気の2種類があります。自然換気は外風から新鮮な空気を取り入れ、家のすき間などの開口部から排出する仕組みです。一方、機械換気は必要時に安定した供給ができると言われています。機械換気には全般換気と局所換気の2種類があり、それぞれ効果が異なるので注意が必要です。

Q.シックハウス症候群とは?
A.建材などに含まれている化学物質が揮発することで起こる健康障害のことです。室内に化学物質が残留してしまい、めまい・吐き気・頭痛・のどの痛みなどの症状が発生します。シックハウス症候群を引き起こす家庭が増えていることから、社会問題として注目されているのです。

Q.計画的な換気とは?
A.計画換気には、24時間常時換気・小風量換気・換気経路の明確化という3つの要素が必要だと言われています。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 24時間常時換気:住宅全体を24時間換気することで汚染物質の滞留を抑える
  • 小風量換気:冷暖房に影響しないように小風量で換気する
  • 換気経路の明確化:汚れた空気やにおいが滞留しないように、住宅内の換気経路を明確にする

まとめ

換気を行うことで、室内に滞留している汚れやにおいなどを外に排出することができます。私たちが生きるために必要な空気を取り入れ、新鮮な空気の中で生活するためには計画的な換気が必要です。換気を行わないと、不衛生な生活になったり、体に悪影響を及ぼしたりとさまざまなデメリットが生まれます。湿気がたまることでカビやダニが発生し、建物全体を傷つける恐れもあるのです。しっかりとポイントを押さえておけば、効率的な換気ができるでしょう。