鉄骨と木造、それぞれの特徴を比較してみると……!?

家を建てるときに、木造か鉄骨かで迷う方は少なくありません。
耐震性や防火性だけを考えるならば、鉄骨の方が優れているように見えます。
しかし、木造建築にもメリットはたくさんあるのです。
そこで、今回は鉄骨と木造を比較してみましょう。
それぞれの特徴を知れば、選ぶときの参考になります。
また鉄骨と木造の違いは強度だけではありません。
固定遺産税の額も変わってくるのです。
それはいったいなぜでしょうか?
答えは、この記事を読めば分かりますよ。

1.木造と鉄骨、それぞれの特徴とは?

まず始めに、木造と鉄骨のそれぞれの特徴を比較してみましょう。
東日本大震災が発生して以来、耐震性の高い家が人気を集めています。
しかし、耐震性や耐久性が高い家が必ずしも住みやすいというわけではありません。
それぞれのメリットを把握しておきましょう。

1-1.木造建築とは?

木造建築とは、日本で昔から建てられてきた建築物です。
柱や土台、梁(はり)は木製で、柱や梁(はり)で屋根を支える構造のものも多いでしょう。
木造住宅の特徴は、家の開口部が広く取れ、改築がしやすいということ。
壁が少ないので部屋を増やしたり減らしたりすることも比較的簡単です。
その反面、木は湿気に弱いので年月とともにカビがはえたり腐食したりします。
ですから、鉄筋構造の建物よりどうしても寿命は短くなるのです。
さらに、木造住宅に発生すると厄介なのがシロアリ。
シロアリは木を食べてボロボロにしてしまうため、シロアリが巣くった家はすぐに対処しないと大変なことになります。
また、木は燃えますから耐火性はどうしても鉄骨に比べて劣るのです。
その反面、耐震性については新築物件ほど鉄骨との差は小さいでしょう。
日本の耐震技術は世界一です。
木造住宅も筋交いや耐震ダンパーの使用、さらに屋根の軽量化によって耐震強度を高められます。
ただし、築年数がたった住宅ほど耐震強度は下がるので、定期的な補強が必要になるでしょう。
また、木造建築は職人の腕にできあがりが左右されやすいのも特徴です。

1-2.鉄骨建築とは?

鉄骨建築とは、柱や土台、梁(はり)などが鉄筋コンクリート製の住宅のことです。
以前はマンションなどだけに使われていましたが、現在は一戸建ての住宅にも使用されています。
鉄骨建築の一番の特徴は、強度。
木造住宅よりも長持ちし、耐震性耐火性に優れています。
また、土砂災害や水害にも強いでしょう。
2015年に鬼怒川が決壊した際、木造住宅は流されましたがRC(鉄筋コンクリート)造の住宅は流されずに残りました。
ですから、災害が多い地域に住んでいる方はRC(鉄筋コンクリート)造の家を選択する方も少なくありません。
しかし、鉄骨建築は木造建築よりも費用がかかります。
おおよそ坪単価90万円が相場ですから、木造建築の1.5倍以上はかかるでしょう。
また、鉄骨の場合は木造住宅より気温の影響を受けやすいのです。
ですから、何も対策をしないと夏暑く、冬寒い家になってしまいます。
また、間取りの自由度は高いのですが、リフォームがしづらいというのもデメリットです。
さらに、鉄骨はサビによる被害に要注意。
特に、コンクリートの内部にある鉄芯のサビは、なかなか気づきません。
そのうえ、鉄骨建築は木造建築に比べて重いです。
ですから、地盤がしっかりした場所に建てないと、地盤沈下の恐れがあります。
地盤が軟弱な土地の場合は、くい打ちなどをして地盤を強化する必要がありますが、その費用も入れると建築費がさらに高くなるでしょう。

2.鉄骨と木造の固定資産税の違いについて

固定資産税とは、土地と建物に対してかけられる税金です。
その額は土地と建物の評価額によって決まります。
また、定期的に土地と建物の査定があり、それによって評価額が変わるのです。
土地の価格は、現在では新幹線が通るなどよほどのことがないと、それほど変化はないでしょう。
建物は、通常年月とともに価値が下がっていきます。
しかし、鉄骨は木造に比べると劣化しにくいため、評価も下がりにくいです。
そのため、鉄骨建築で建てた家の方が固定資産税は高くなりやすいでしょう。

3.建築方法を選ぶポイントとは?

この項では、木造か鉄骨かを決めるポイントをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

3-1.予算で決める

前述したように、鉄骨の方が木造よりも建築費用が高くなります。
また、断熱材の量によっては、光熱費もかかるかもしれません。
家は大きな買い物です。
予算をオーバーしすぎると、ローンも厳しくなるでしょう。
ですから、予算の上限をあらかじめ決めておけば、建築方法もより選びやすくなります。
また、工期も選択肢の目安になるのです。
一般的に、木造住宅の工期は3~4か月、鉄骨の工期は6か月といわれています。
工期が長引くほど、費用も高くなるのです。

3-2.家を建てる土地で決める

日本は南北に長いですから、土地によって気候に差があります。
1年中湿気が高いところもあれば、夏と冬の気温差が大きいところもあるのです。
夏暑く冬寒い土地に鉄骨の家を建てる場合は、断熱材をたくさん入れないと住みにくくなるでしょう。
さらに、地盤の強さも建築方法選びの大切なポイントになります。
軟弱な地盤に鉄骨の家を建てる場合は、地盤の強化が必要です。
そのため、より費用がかかるでしょう。
さらに、地盤沈下のリスクも木造より高くなります。
逆に、台風がシーズンごとに何度もやってきたり水害が発生しやすかったりする場合は、鉄骨の方がメリットは大きいでしょう。

3-3.一部を鉄骨にするというやり方もある

今は、住宅の一部を鉄骨にするという方法もあります。
たとえば、楽器を演奏するので、一部屋だけ防音対策をしたいという場合は、その部分だけRC(鉄筋コンクリート)造にするということもあるのです。
そうすれば、オール鉄骨よりも費用は安く、工期も短くて済むでしょう。

3-4.工務店に相談してみることが大切

工務店や住宅メーカーは家造りのプロです。
ですから、施主が「このような家を作りたい」という希望に対して、いろいろなアドバイスをしてくれます。
ただし、施主が「絶対こうしたい」といいきってしまうと、工務店や住宅メーカーは反対できません。
ですから、「こんな家にしたいのだけれど、どうしたらよいのだろう?」という聞き方をしてみましょう。
また、住宅展示場やモデルハウスなどをたくさん見に行くと、いろいろな工務店や住宅メーカーに出会えます。

4.おわりに

いかがでしたか? 今回は木造と鉄骨の特徴を比較してみました。
木造と鉄骨は、どちらが優れている、といいきることはできません。
家を建てる場所や家の形によって、特徴がメリットになることもあれば、デメリットになることもあるでしょう。
ですから、いろいろな人の意見を聞いて、建築方法を決めるとよいですね。
また、前述したように木造住宅でも、耐震強度や耐火性を高めることはできます。
さらに、家は建てれば終わりではありません。
維持費もかかりますし、定期的なリフォームも必要です。
なので、建築費用だけでなく維持費やリフォーム費用なども考えて、建築方法を選択しましょう。
また、可能ならば人が住んでいる鉄筋の一戸建てと木造の一戸建て、両方の家を見学してみてください。
モデルハウスと実際に人が住んでいる家では、印象が違います。
今まで見落としていたことに気づくこともあるでしょう。