サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いは? 詳しく解説!

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いは、どんな点でしょうか? 老後は、なるべく豊かな環境で安心して暮らしたいですよね。今は、高齢者向け施設に入居して老後の生活を送る人が増えています。十分な資金があれば、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどが候補に挙がることでしょう。入居してから後悔しないためにも、両者の違いをよく理解してから検討する必要があります。

そこで今回は、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いについて詳しく解説しましょう。

  1. サービス付き高齢者向け住宅とは?
  2. 有料老人ホームとは?
  3. サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違い
  4. 高齢嫌向け施設を選ぶ際のポイント
  5. サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いに関するよくある質問

この記事を読むことで、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームはどんな点に違いがあるのかよく分かり、施設選びの参考にすることができます。まずは、記事を読んでみてください。

1.サービス付き高齢者向け住宅とは?

最初に、サービス付き高齢者向け住宅とはどんな施設か詳しく見ていきましょう。

1-1.地域包括ケアシステムの一つとして2011年から開始

サービス付き高齢者向け住宅は、国の地域包括ケアシステムの一つとして2011年から始まりました。主な目的は、高齢者が自分らしく生きるために最適な住環境を提供することです。高齢になってもできるだけ自立した生活を送り、自由を味わいながら生きるには、周囲のサポートが必要になります。サービス付き高齢者向け住宅では、バリアフリー設計や各種生活支援サービスの提供などにより、高齢者でも安心して暮らすことが可能です。

1-2.サービス付き高齢者向け住宅には2種類ある

サービス付き高齢者向け住宅には、一般型・介護型の2種類があります。

  • 一般型:1人もしくは夫婦2人暮らしで、自立もしくは介護度が軽い人向けの住宅。介護度が重く、手厚い支援が必要ケースでは合わないことがある
  • 介護型:介護が必要になった高齢者が、施設の常駐スタッフから生活支援や介護サービスを受けることができる。ただし、初期費用や毎月の生活費が有料老人ホーム並みにかかる

介護型のサービス付き高齢者向け住宅は、有料老人ホームとほぼ条件が変わらなくなります。最初は一般型の施設に入居しておき、状況に合わせて介護型の施設に移ることも可能です。

1-3.サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット

サービス付き高齢者向け住宅の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット

  • 高齢者が快適に暮らすために必要な広さや設備が整っている
  • バリアフリーで安全に生活できる
  • 入居後の自由度が高い
  • 一般型は初期費用が少ない(敷金として家賃2~3か月程度が相場)
  • 希望に応じて生活支援や介護サービスを受けることができる

デメリット

  • レクリエーションの実施率が低く、入居者同士の交流を深める機会が少ない
  • 介護度が重くなると退去が必要になることがある
  • 施設ごとの個性やサービスの差が分かりにくい

2. 有料老人ホームとは?

有料老人ホームとはどんな施設か詳しくご紹介します。

2-1.民間企業が経営する高齢者向け施設

有料老人ホームとは、民間企業が経営する高齢者向け施設のことです。入居者の希望や状態に合わせ、生活支援および介護に関するさまざまなサービスを受けることができます。高齢で支援が必要になっても、生活レベルを落としたくない、高品質なサービスを受けながら暮らしたい人などに向くでしょう。さらに、医療機関が経営母体もしくは関連がある施設では、急変が起きたときにも通院や入院の手続きがスムーズに進んで安心です。

2-2.有料老人ホームには3種類ある

有料老人ホームには、以下の3種類があります。それぞれの特徴をよく理解して入居を検討するといでしょう。

  • 健康型有料老人ホーム:介護が必要ない人向け。家事および食事などのサポートを受けることができる
  • 住宅型有料老人ホーム:介護度が軽い人向け。生活支援サービス(食事・清掃・洗濯)を受けられるが、介護サービスは別途在宅サービス事業所と契約する必要がある
  • 介護付き有料老人ホーム:手厚い介護が必要な人向け。充実した介護サービスと生活支援サービスを受けることができる

2-3.有料老人ホームのメリット・デメリット

有料老人ホームには、主に以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 介護度が重くても入居可能な場合がある
  • 手厚い介護や生活支援サービスを受けられる
  • 居住条件・サービス共に満足度が高い施設が多い

デメリット

  • 外出や外泊に制限がかかることが多い
  • 自由な時間に食事・入浴ができないことがある
  • 入居時に数百万~数千万円以上のまとまったお金が必要
  • 施設によってサービス内容・質の差が激しい
  • 毎月の入居費用が高くなりがち

3.サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違い

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームにはどんな違いがあるか、見ていきましょう。

3-1.提供されるサービスに違いがある

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームでは、介護サービスの違いが大きなポイントです。サービス付き高齢者向け住宅は、基本的に自立した高齢者向けの住宅であり、見守りや家事代行などの生活支援が主体になります。一方、有料老人ホームでは、施設の種類によって要介護者が手厚い介護サービスと生活支援の両方を受けながら入居することが可能です。

3-2.外出や外泊の自由度が異なる

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームでは、外出や外泊の自由度が異なります。サービス付き高齢者向け住宅では、本人が希望すれば許可を得ることなく、いつでもどこへでも自由に外出することが可能です。一方、有料老人ホームは外出や外泊の際、事前に許可を得て承認されることが必要になります。介護度が高い、外出することで本人や周囲にトラブルが起きる可能性があるなどの場合は、許可が下りないこともあるでしょう。

3-3.契約形態が異なる

サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームでは、契約形態にも違いがあります。具体的には、以下をご覧ください。

  • サービス付き高齢者住宅:賃貸契約(通常の賃貸契約と同様)
  • 有料老人ホーム:利用権契約(施設に住む権利・利用する権利・介護サービスを受ける権利を契約する)

4.高齢者向け施設を選ぶ際のポイント

高齢者向け施設を選ぶ際の主なポイントを見ていきましょう。

4-1.入居費用を支払い続けることができるか

高齢者向け施設を選ぶとき、最も頭を悩ませるのが入居費用の問題でしょう。資産や預金が十分にある場合を除いて、入居時の契約金や毎月の支払いをまかなえるかが重要なポイントになります。サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームでは、初期費用に大きな差が出やすいものです。また、入居後に必要な費用も施設ごとに異なるため、きちんと試算して余裕を持って選ぶようにしましょう。

4-2.居室が快適か

居室が快適かどうか、施設見学などを利用して隅々まで見極めましょう。たとえば、以下の条件を満たすと快適に暮らすことができます。

  • 十分な広さがある
  • 日当たりや風とおしがよい
  • 備え付けの家具や設備に不足がない
  • 新しくて清潔
  • 家族が通いやすい立地にある
  • 使いやすい設計で移動などに支障がない

4-3.入居者やスタッフの雰囲気がよいか

入居者やスタッフの雰囲気がよいことも、高齢者向け施設を選ぶ際の重要なポイントです。サービスが十分に行き届いていれば、入居者が快適に暮らせて表情や話し方が明るくなります。また、スタッフに笑顔が多いか、丁寧な言葉遣いができているかなどもチェックしましょう。高齢者向け施設では、運営が苦しくなり人員削減を進めた結果、スタッフの待遇が悪化してサービスの質が落ちることがあります。スタッフの様子を見て笑顔が少ない、顔色が悪いなどのサインが出ていたら要注意です。

4-4.施設内や備品がきちんと整理・清掃されているか

施設内や備品がきちんと整理・清掃されている施設なら安心です。きちんと掃除されずにホコリが舞っていたり、備品が散らかったままになっていたりするのでは、快適な生活を送れるとは言えません。また、ひどい臭いがないか確認しておきましょう。入居者の排せつ物のケアや清掃が十分にできておらず、臭いが発生している可能性があります。いずれにしても、不衛生ですから契約を見合わせたほうがいいでしょう。

4-5.食事メニューが充実しているか

高齢者向け住宅では、食事メニューが充実しているかもチェックしてください。高齢者にとって、食事は毎日の楽しみの一つであり重要です。具体的には、以下のようなポイントをチェックするといいでしょう。

  • 四季の食材を多用し季節感のあるメニューを提供しているか
  • 入居者それぞれの状況を考えて栄養管理をしているか
  • 味付けがよいか
  • 食事の自立度が下がってもきちんと介助してもらえるか

最近では、入居前に食事メニューの試食会を行っている施設も多いので、積極的に参加してみるといいでしょう。

4-6.介護サービスの対応状況

介護サービスの対応状況も、細かく確認しておきましょう。現在は介護を必要としない人でも、やがて何らかの形で介護サービスが必要になることがあります。入居後、介護保険を利用してサービスを受ける場合はどうすればいいのか、介護保険適用外のサービスはどうなっているのかなどをチェックしてください。特に、介護保険適用外のサービスは、施設によって内容と質に大きな差が出ます。要介護状態になったときに、十分なサービスを受けられるところを選ぶのが理想です。

4-7.レクリエーションの内容と実施状況

高齢者向け施設では、入居者の自立と介護度の進行を防ぐために、カラオケや体操など、さまざまなレクリエーションが用意されているものです。また、お花見やお月見など、季節の行事を大切にしているところもあります。定期的に手芸や絵画などを習うことができるケースも多いでしょう。レクリエーションに参加することで、心身の健康や社会性を保つことができます。ただし、施設によって実施状況が異なるため、必ずしも希望のレクリエーションを受けられるとは限りません。興味を持てない内容ばかりでは入居後の楽しみが激減するので、入居前に必ず確認しておきましょう。

4-8.急変時の対応が万全か

急変時の対応が万全かどうかも、しっかりチェックしておきましょう。高齢者向け住宅は人手不足が深刻で、特に夜間は少人数で対応しているケースが多く見られます。そのため、急変が起きても十分な医療ケアを受けられるとは限りません。医療ケアや急変時の対応がどうなっているか、スタッフから説明を受けて納得してから契約しましょう。

5.サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いに関するよくある質問

最後に、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いに関する質問に回答します。それぞれ、役立ててください。

Q.サービス付き高齢者向け住宅の入居条件に年齢制限はある?
A.原則として60歳以上であることが必要条件です。ただし、要支援・要介護認定を受けている人は、60歳に満たなくても入居可能になります。

Q.有料老人ホームに入居中、長期入院が必要になったらどうなる?
A.施設によっては、入院が長期化する場合、契約解除になることがあります。詳しくは、契約書を確認してみてください。契約解除になる場合、退院後の住居についても考えておく必要があります。

Q.有料老人ホームの入居時審査ではどんなポイントをチェックされる?
A.入居時審査では、以下のようなポイントをチェックされることが多いでしょう。

  • 入居費用の支払い能力の有無
  • 身元引受人・連帯保証人について
  • 保有資産額・内容
  • 入居に問題ない健康状態・精神状態か

なお、施設によってはこのほかにもチェックを受けることがあります。詳しくは、入居を希望する施設のパンフレットやホームページなどで確認してください。

Q.看取(みと)りを行ってもらうことはできる?
A.施設によります。まずは、過去に看取(みと)りの経験があるか確認してみるといいでしょう。なお、看取(みと)りをしていない施設に入居した場合、対応可能な施設への転居したり病院や自宅に移ったりして最期を迎える必要があります。

Q.生活保護受給者でも入居できる?
A.場合によっては入居できる可能性があります。ただし、生活保護受給者を受け入れている施設は多くありません。詳しくは、担当のケアマネージャーに相談してみてください。

まとめ

今回は、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いについて詳しく解説しました。いずれも高齢者向け住宅ですが、比較すると負担額の多さ、サービスの提供内容、入居資格などでさまざまな違いがあります。現在の健康状態や資産・収入などの条件を併せて考え、快適に過ごすことができる施設を探してください。なお、実際に自分の目で施設を確かめてから決めることをおすすめします。多くの施設では入居希望者向けに見学会を実施しているので、申し込んでみるといいでしょう。