相続トラブルでお困りの方必見!原因、解決&予防策をご紹介します!
相続に関するトラブルで困っている・悩んでいる……ということはありますか? 突然、家・不動産・現金など、高額の財産を相続することになった場合、どうしたらいいのか、何から手続きすればいいのか戸惑うものです。相続人が1人や2人ならそれほど問題も起こらないでしょう。けれども、相続人の数が多いと、相続の分配や内容に対する考え方の違いで争いになることもあるのです。相続は民法など法律が関係するため、法律に詳しくない一般人は、どうしていいのか迷ってしまいますよね。
そこで、現在の相続トラブルの現状を踏まえ、トラブルの原因・解決方法・予防方法などをご紹介しましょう。
この記事を読んでいただくことで、相続トラブルに関するお悩みを解決できるでしょう。ぜひお役立てください。
1.相続トラブルの現状を知っておこう
相続トラブルを解決したり未然に防いだりするためにも、まずは、近年における相続トラブルの現状や基礎知識を学びましょう。知っておくと役立ちます。
1-1.相続トラブルは近年増加している
相続に関するトラブルは、近年増加しているのはご存じでしょうか。「相続なんて、すごいお金持ちの話で私には関係ない」と思っている人も少なくないようです。しかしながら、相続トラブルは資産数十億という家庭ではあまり起こっていません。1,000万円以下の、いわゆる「中流」と呼ばれている一般家庭のほうが多いのです。そして、相続トラブルは、ここ数年来増加傾向にあります。
裁判所の司法統計によると「遺産分割に関する調停事件の推移」は以下のようになっているのです。
- 昭和30年…約2,000件
- 昭和60年…約5,000件
- 平成14年…約9,000件
- 平成25年…約12,200件
昭和30年と平成25年を比較すると、60年間に約6倍も増加しています。そして、調停事件となる遺産額は、5,500万円以下の相続で約74%、その内1,000万円以下の相続で約32%です。億レベルの高額よりも、5,000万円以下の額でもめるケースのほうが多く見られます。
1-2.相続トラブル増加の背景
相続トラブルが増加した背景としては、以下のことが挙げられています。
- 本格的な高齢化社会の到来
- 家という共同体意識が希薄になり、相続人(兄弟姉妹など)の権利意識が上がった
- 経済不況の長期化や公的年金に対する将来的な不安に伴い、家族間の財産に対する関心が高まっている
- 相続税の改正により、基礎控除額が減額され、税金を負担する基準が広がったため、生前贈与など節税対策の必要性が増えた
相続トラブルは、今後も増加する傾向にあるといわれています。
2.よくある相続トラブルの事例
ひと口に「相続トラブル」といっても、いろいろな内容があります。その中でもよくあるトラブル例をご紹介しましょう。
2-1.財産の目録がなく内容がわからない
被相続人(財産を残して亡くなった人)が、「相続財産の目録」「遺言書」など何も残していないために、どのような財産が残されているのかわからないケースがあります。
そのため、自宅などの不動産のほかにも「もっと何か隠し財産があるだろう」と、相続人たちが調べていくうちにお互いに疑心暗鬼になりトラブルへと発展するのです。実際に、被相続人と同居していた相続人が、財産を使い込んでいたケースもあり、同居していなかった相続人から疑われることも少なくありません。
2-2.遺言の内容が偏っている
被相続人が遺言書をきちんと残していたとしても、その内容が偏っているとトラブルになることもあります。たとえば、被相続人が、子どもや妻などの相続人以外に、内縁の妻・愛人・認知した子どもなどに多額の財産を残した場合、トラブルになることが多いのです。
2-3.兄弟姉妹とその配偶者間の不仲によるトラブル
日頃から、被相続人の子どもとその配偶者との仲が悪いと、相続トラブルになる可能生もあります。血のつながった兄弟姉妹同士は仲がよくても、その配偶者は他人です。他人が絡むことで、兄弟姉妹同士の関係が疎遠になることも少なくありません。特に、遺言書が残されていない場合は、個々に言い分を主張するだけとなり、解決がむつかしくなります。
2-4.遺産に土地などの不動産があるケース
土地やマンションなどの不動産がある場合、トラブルが発生しやすくなります。以下のような理由があるからです。
- 分割しにくい
- 遺産の価値がわかりづらい
- 売却してお金に換えたいと思う相続人と、そのまま持っておきたいと思う相続人がいる
- 相続人が多い場合、1人でも反対だと名義変更ができない
上記のように、個々の考え方や事情が異なることで相続の協議がスムーズに進まないのです。
2-5.相続人が多いケース
財産を相続する人が、法定相続人(被相続人の両親・配偶者・子・兄弟姉妹など)だけではなく、それ以外にいると話が複雑になりトラブルになります。たとえば、遺言書に、被相続人が生前に介護などで世話になった人などに遺産を渡す旨を記載している場合などです。
2-6.相続財産に「寄与分」が存在するケース
相続財産に「寄与分」が存在していると、話が複雑になりトラブルになることもあります。「寄与分」とは、被相続人の財産の維持・増加に対して「特別な貢献」をした相続人がいる場合、その貢献した分を金銭的に評価し、相続分に上乗せすることです。
たとえば、子どものうち誰かが親の介護をしていた場合などが、そのケースに当たります。その場合、介護している子どもと、何もしていなかった子どもとの間でトラブルになることも多いのです。
3.相続トラブルは何が原因で起こるのか?
前項「よくある相続トラブルの事例」でお分かりいただけるように、相続トラブルの原因は以下のことが挙げられます。
- 被相続人が、財産目録や遺言書など、何も残していない
- 財産目録や遺言書が残っていたとしても、内容に偏りがあり相続人全員が納得しない
- 相続人同士が疑心暗鬼になり、「使い込みがあったのでは?」などお互いに疑う
- 相続人同士が、もともと不仲なのでお金の話になるとさらにもめる
- 兄弟姉妹間の価値観や考え方が合わない(不動産を売却するか残すかなど)
4.相続トラブルを解決する方法は?
相続トラブルを解決するにはどのような方法があるのでしょうか? 代表的なものをご紹介しましょう。
4-1.相続財産の目録がなく内容がわからない場合の解決策
財産目録や遺言書がなく、相続財産の内容がわからない場合、まず相続人が遺産を調査する必要があります。
4-1-1.不動産の調査
不動産の権利証・固定資産税課税通知書(納付書)・自治体発行の名寄帳(なよせちょう)(※)などから、被相続人が所有している不動産を調べましょう。
※名寄帳(なよせちょう):ある人物が持っている不動産の一覧表
4-1-2.預貯金・有価証券など
被相続人が所有していた、通帳やキャッシュカードなどを探し、預貯金をしている銀行を調べます。また、取り引きのある銀行や証券会社からの郵便物があるかも調べましょう。最近は、インターネットバンクに口座を設けている場合もあるので、被相続人のパソコンやスマートフォンでメールなどをチェックしてください。
4-1-3.車・宝石・貴金属など
被相続人が所有していた、車・宝石・貴金属・美術品などは専門業者などに依頼して、どれくらいの価値があるものなのか調べてください。
4-1-4.借金など「負」の財産がないかも確認
被相続人が金融機関から借金をしていないかも調べましょう。
上記の信用情報機関に、被相続人が借り入れをしていないか問い合わせをしてください。プラスの財産よりも借金のほうが多い場合は、相続放棄もできます。
4-2.遺言書の内容が偏っている場合の解決策
遺言書の内容が偏っていて、遺留分(※)を侵害された場合は、「遺留分減殺請求」をすることができます。たとえば、相続人が「妻と子どもだけ」だった場合、遺言書に全財産を妻に贈与する旨が書いてあっても、子どもは遺留分減殺請求ができるのです。遺留分減殺請求をする権利があるのは、被相続人の妻や子・父母・祖父母などに限られる(兄弟姉妹は除く)ため、気を付けてください。
※遺留分:一定の相続人のために、法律上、「取得することを保障されている」相続財産の一定の割合
4-3.不動産の分け方で意見が分かれる場合の解決策
不動産の分け方で意見が分かれ、相続人同士の話し合いで解決できない場合は、遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てる方法があります。実は、不動産の分け方は、遺産分割協議の中でも特にもめる問題です。というのも、不動産の分割はさまざまな方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。そのため、相続人によって考え方が異なるのも致し方ないでしょう。
4-4.相続人の寄与分でトラブルになった場合の解決策
寄与分に関しての判断には、専門の法的知識が必要になります。弁護士などの専門家に相談をしたほうがいいでしょう。
4-5.そのほか、相続人同士の不仲によるトラブル・相続人が多すぎる場合の解決策
遺言書がなく相続人がたくさんいる、相続人同士の力関係に差がありトラブルになるなどの場合は、当事者同士の協議で解決するのは困難なことがほとんどです。解決には法的な知識も必要なため、弁護士などの専門家に間に入ってもらうことをおすすめします。
5.相続トラブルを予防するには?
前項でもご紹介したように、相続トラブルは1度起こってしまうと当事者同士で解決するのは大変です。遺産分割も長引き、相続人も疲弊してしまうでしょう。最悪の場合は、兄弟姉妹や親戚同士が絶縁状態になります。そのようなことにならないためには、被相続人が元気なうちに予防策を考えておくことが大切です。
5-1.財産を明確にして漏れなく把握しておく
被相続人は自分が元気なうちに、財産をきちんと把握して目録を作成しておきましょう。目録は誰が見ても一目瞭然になるように、金融資産は種類別に記録、不動産は所在地も明記してください。もちろん、借金など「負」の財産も目録にしておくことが大切です。インターネットバンキングやFXなどの取り引きを行っている場合は、相続人に後処理をしてもらうためにも、取引先や口座番号などだけではなく、パソコンやスマートフォンの暗証番号も記録しておきましょう。
5-2.生前に遺言書を用意しておく
遺言書は故人の意思表示となるものです。そのため、生前に、きちんと用意をしておきましょう。親族同士のトラブルを回避することができます。ただし、遺言書の書き方によっては法的な効力がないために、もめることもあるので注意が必要です。
遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があります。中でも、公正証書遺言は、公証人に作成してもらい原本は公証役場で保管するため一番間違いがなく、効力も確かです。
5-3.不公平にならないように相続内容を考え決めておく
被相続人に子どもが複数いる場合は、不公平にならないように相続内容を考えないと被相続人の死後トラブルになります。民法の「法定相続人」や「相続順位」をベースに、遺留分・寄与分・特別受益(※)などを考慮しながら、バランス感覚を持って決めてください。
※特別受益:相続人に対して生前贈与をしたり生活費の援助をしたりしていた分のことで、特別に利益を受けた相続人の相続分から差し引くことが認められている
5-4.生前に子どもと相続内容を話し合っておく
トラブル回避のために、被相続人は生前に子どもを集めて相続内容を話しておくことも大切でしょう。昔は「生きているうちに死後のことを話すのは縁起が悪い」という考え方をする人が多かったものです。しかしながら、近年では、死後にトラブルが起こることを考えて、生前整理として遺言書を用意する人も多くなりました。相続の話し合いのときには、寄与分・特別受益に関しても明確にしておきましょう。
5-5.相続の専門家に相談する
相続に関して困ったときは、相続の専門家に相談してください。相続は、法律が関係するので一般人には判断が難しいものです。また、トラブルの内容や解決手段もケースバイケースになります。そのため、弁護士などに相談するほうが、スムーズに予防&解決策が見つかることもあるのです。日本法規情報では、無料の相談窓口もあります。
6.相続トラブルに関するよくある質問
相続トラブルに関するよくある質問をご紹介しましょう。ぜひ参考にしてください。
Q.今話題のエンディングノートは、遺言書の代わりになりますか?
A.エンディングノートは、法的な効力はないために、遺言書の代わりにはなりません。しかしながら、自分の財産目録・友人知人の連絡先・葬儀の希望・残された家財道具の処分方法などを書き残すため、遺族にとっては助かります。遺言書とは別に用意しましょう。
Q.被相続人に借金がありました。この借金は相続しなければなりませんか?
A.現金や不動産などプラスの財産よりも、借金などマイナスの財産が多い場合は、相続を放棄すべきかどうか慎重に考えたほうがいいでしょう。相続人は、原則的に3か月以内に相続放棄の手続きをしないと、相続を認めたことになってしまうため気を付けてください。
Q.内縁の妻に財産を残すことは可能でしょうか?
A.「内縁の妻に財産を残したい」旨を書いた遺言書を作成することが必要です。また、トラブル回避のために、遺言書作成の前に入籍するケースもあります。
Q.自分が生きているうちに、相続内容について子どもたちと話し合いをしたいのですが、仲が悪くすぐにケンカになるため話が進みません。
A.法律に詳しい専門家を、話し合いに入れるのがおすすめです。遺産相続に詳しい弁護士などを話し合いに入れると、皆ケンカせずきちんと聞く耳を持つ可能性が大きいでしょう。
Q.相続トラブルを弁護士に相談するメリットはあるのですか?
弁護士に相談するメリットには以下のようなことがあります。
- 相続する財産や相続人の調査をしてくれる
- 遺産の分け方で適切なアドバイスをもらえる
- 相続人同士の交渉をすべて一任できるので、直接仲の悪い相続人と会う必要がない
- 相続人同士が直接会わないためトラブルを回避できる
- 遺留分を侵害された場合などでも、自分の遺留分を取り戻すことも可能
最近は、無料相談サービスを行っている弁護士事務所も増えているので利用してみましょう。
まとめ
現金・預貯金・不動産など、相続の分配に関することは、どんなに仲のいい兄弟姉妹でもトラブルになりがちです。「自分のほうが被相続人の面倒をよく見ていた」「私のほうが介護をしていた」など、個々に主張があり、不公平な遺産の分け方には不満を感じるでしょう。不満が募ると、お互いに言い争いになり、親戚や兄弟姉妹の間の信頼も崩壊することが少なくありません。そのため、自分の死後のことを考え、生前に遺言書を残す人も増えてきました。法的に有効な遺言書を作りたいが難しくてよくわからない場合だけでなく、しごに相続人同士で深刻なトラブルになってしまったなどのときには、弁護士などの専門家に相談するほうがスムーズに問題を解決できるでしょう。